病態モデルを用いた中枢神経障害に対する理学療法研究の動向
「はじめに」 理学療法は, 非特異的な物理刺激による生体反応を利用した治療行為である. すなわち, より効果的かつ有効な治療手段を開発するためには, その病態を把握し, 病態生理学的な観点から理学療法の作用機序を追求することが求められる. 理学療法研究の最終ゴールは患者様の福音となる有効な治療法の確立であり, 臨床研究を含め, ヒトを対象とした研究は必要不可欠である. しかし, その場合, 非侵襲的な方法論に限定されるなど, 研究倫理上の制約も大きいため, 実験動物による病態モデルを用いた実験研究の成果にも期待がもたれる. もっとも, 動物愛護の観点から必要最小限の犠牲に留めることの重要性は言...
Saved in:
Published in | 理学療法学 Vol. 37; no. 8; pp. 650 - 653 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.12.2010
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00006912768 |
Cover
Summary: | 「はじめに」 理学療法は, 非特異的な物理刺激による生体反応を利用した治療行為である. すなわち, より効果的かつ有効な治療手段を開発するためには, その病態を把握し, 病態生理学的な観点から理学療法の作用機序を追求することが求められる. 理学療法研究の最終ゴールは患者様の福音となる有効な治療法の確立であり, 臨床研究を含め, ヒトを対象とした研究は必要不可欠である. しかし, その場合, 非侵襲的な方法論に限定されるなど, 研究倫理上の制約も大きいため, 実験動物による病態モデルを用いた実験研究の成果にも期待がもたれる. もっとも, 動物愛護の観点から必要最小限の犠牲に留めることの重要性は言うまでもない. 筆者らは中枢神経系の病態を意識し, 理学療法の効果を単に麻痺肢の機能回復に求めるのではなく, 「脳」をひとつの臓器として捉え, 生物学的視点から検討していく必要性があると考えている. 本稿では, 最近の研究成果をもとに各種中枢神経障害の病態に対する生体刺激効果を示す研究例を紹介し, こうした病態モデルを用いた基礎研究(動物実験)が, いかに理学療法の開発に寄与するかという視点からその意義について述べる. |
---|---|
ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00006912768 |