未破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術後に両側中脳尾側傍正中部梗塞をきたした1例

中脳尾側傍正中部梗塞(caudal paramedian midbrain infarction:CPMI)は非常にまれな脳血管障害で特異な症候を呈するが,血管内治療の合併症として発症した報告は,われわれが渉猟し得たかぎり過去にない.未破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術後に両側CPMIをきたした1例を経験したので報告する.症例は70歳女性.最大径11mmの未破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対して,ステント支援下コイル塞栓術を施行した.術後から両側の眼球運動障害,構音障害,小脳失調を認め,術翌日のMRIで両側CPMIと診断した.手技に伴う穿通枝障害と考えられた.脳底動脈先端部が...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 3; pp. 238 - 243
Main Authors 藤田, 敦史, 三宅, 茂, 庄瀬, 裕康, 川村, 浩平, 山本, 大輔, 坂田, 純一, 藤田, 健嗣, 嶋﨑, 智哉, 田中, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.238

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Summary:中脳尾側傍正中部梗塞(caudal paramedian midbrain infarction:CPMI)は非常にまれな脳血管障害で特異な症候を呈するが,血管内治療の合併症として発症した報告は,われわれが渉猟し得たかぎり過去にない.未破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術後に両側CPMIをきたした1例を経験したので報告する.症例は70歳女性.最大径11mmの未破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対して,ステント支援下コイル塞栓術を施行した.術後から両側の眼球運動障害,構音障害,小脳失調を認め,術翌日のMRIで両側CPMIと診断した.手技に伴う穿通枝障害と考えられた.脳底動脈先端部がasymmetric typeの場合,caudal sideの本動脈瘤に対する塞栓術において穿通枝障害は出にくいとされている.しかし,本症例を後方視的にみると,術前の高解像度コーンビームCTで右PCAの背面から中脳に向かうinferior paramedian mesencephalic artery(IPMA)と思われる穿通枝が描出されていることが確認され,同血管の障害により両側CPMIをきたした可能性が高いと考えられた.脳底動脈先端部動脈瘤に対するコイル塞栓術において,術前の詳細な穿通枝の評価が重要である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.238