中米ホンデュラスにおける協力隊活動について
私は3年半の臨床経験を経て, 1989年2月から, 1991年1月まで中米のホンデュラスにて活動してきました. ホンデュラスという国を簡単に説明します. 面積は日本の約3分の1, 人口は450万, 土地の65%が山岳地帯で, 気候は海岸部の亜熱帯地域を除いて, 日本の春夏と似通っています. 産業はバナナ, コーヒーなどの一次産業が主で, GNP約700米ドル, 中米諸国ではハイチに続いてもっとも経済的に立ち遅れている国とされています. 政治は1980年より民政となっていますが, 未だ軍事的影響力は強く残っています. 公的医療は六大国立病院から地域診療所にいたるまでのピラミッド型の組織網を持って...
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Published in | 理学療法学 Vol. 20; no. 7; pp. 463 - 464 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
01.11.1993
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00003128148 |
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Summary: | 私は3年半の臨床経験を経て, 1989年2月から, 1991年1月まで中米のホンデュラスにて活動してきました. ホンデュラスという国を簡単に説明します. 面積は日本の約3分の1, 人口は450万, 土地の65%が山岳地帯で, 気候は海岸部の亜熱帯地域を除いて, 日本の春夏と似通っています. 産業はバナナ, コーヒーなどの一次産業が主で, GNP約700米ドル, 中米諸国ではハイチに続いてもっとも経済的に立ち遅れている国とされています. 政治は1980年より民政となっていますが, 未だ軍事的影響力は強く残っています. 公的医療は六大国立病院から地域診療所にいたるまでのピラミッド型の組織網を持っています. 貧しい人々は, 無償か, 低額でこれらを利用できます. しかし社会保険より成り立つ先進国の医療とは異なり, 常に医療物資, 技術の不足に苦しんでいます. この医療の現状のなかで, リハビリテーションを名のる施設は国立を含め海外援助によっていくつか存在していますが, 保護収容施設に近く, 十分な機能を果たせていません. また国内では理学療法士の養成機関はありません. 私の配属先は, FUHRILと言う略称の, やはり海外援助から成り立つ障害者援護機関でした. 前述の国内のリハ施設を統合, 指導する目的で設立されました. スタッフは作業療法士, 養護教師, 心理士, ソーシャルワーカー等がいます. ここで各リハ施設への指導, 障害者外来相談, そして地域リハ活動(以下CBR活動と略す)に参加しました. 2年目からは隔週で国立病院のリハ科に勤務し, スタッフに(彼らはほとんど無資格の準看護婦でした)実際の診療を通して基本的知識や技術面の指導をしました. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00003128148 |