ボバース概念治療の変遷
画一的理学療法からの脱皮 ドイツから英国に亡命して, ロンドンで理学療法士の仕事を始めた1940年代のベルタ, ボバースは, 英国の理学療法士協会に認知して貰うために, 専門職課題を克服しなければならなかった1). 初めは, 英国人先輩の指導に従って, すべての患者に物理療法, 関節可動域訓練, 筋力増強訓練, 基本動作訓練の理学療法経験を積み重ねていった. しかし, ベルタ, ボバースはロンドンの幾つかの病院や開業医を渡り歩くうち, どこでも疾患を問わず同じメニューの理学療法が画一的に実践されている事に, 疑問を抱くようになった2). 特に脳卒中後遺症や脳性まひ児の様な中枢神経系に障害がある...
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Published in | 理学療法学 Vol. 32; no. 8; pp. 500 - 503 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.12.2005
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00004056761 |
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Summary: | 画一的理学療法からの脱皮 ドイツから英国に亡命して, ロンドンで理学療法士の仕事を始めた1940年代のベルタ, ボバースは, 英国の理学療法士協会に認知して貰うために, 専門職課題を克服しなければならなかった1). 初めは, 英国人先輩の指導に従って, すべての患者に物理療法, 関節可動域訓練, 筋力増強訓練, 基本動作訓練の理学療法経験を積み重ねていった. しかし, ベルタ, ボバースはロンドンの幾つかの病院や開業医を渡り歩くうち, どこでも疾患を問わず同じメニューの理学療法が画一的に実践されている事に, 疑問を抱くようになった2). 特に脳卒中後遺症や脳性まひ児の様な中枢神経系に障害がある患者は, 習慣的, 定型的理学療法プログラムでは根本的解決に近づくどころか却って, 過緊張が増して運動が低下する様な結果となる事が多かった. この事について, 先輩や同僚そして主治医に問いただしたが, 納得する答えが得られなかった. 「一度ダメージを受けた脳神経は, 決して再生しない」という神経解剖学的見解は事実であっても, そのことで人間の能力の可能性がすべて途絶えてしまうと決め付けて良いのだろうか? |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00004056761 |