パーキンソニズムにおける接触板移動運動の時間的解析

パーキンソニズムにおける上肢運動機能の特性を評価する目的で規則刺激(0.2Hz)と不規則刺激(0.2Hz以下)を合図に接触板移動運動を行わせ,錐体外路系の変性が予測に及ぼす影響について検討した。得られた結果は,① パーキンソン群における主動作筋の潜時は,不規則刺激より規則刺激で延長がみられた。② 全所要時間は刺激頻度に関わらず加齢に伴い有意に延長し,健常群とパーキンソン群の両群とも刺激頻度の差を認めなかった。③ 示指を接触板に接触し離脱する“運動の切り換え”過程では,パーキンソン群と老年群の間で差を認めなかった。 以上のことから,本症にみられる動作緩徐は筋固縮,易疲労等の要因による末梢効果器の...

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Published in理学療法学 Vol. 16; no. 4; pp. 297 - 302
Main Authors 岩月, 宏泰, 室賀, 辰夫, 木山, 喬博, 辻井, 洋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 10.07.1989
日本理学療法士協会
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Summary:パーキンソニズムにおける上肢運動機能の特性を評価する目的で規則刺激(0.2Hz)と不規則刺激(0.2Hz以下)を合図に接触板移動運動を行わせ,錐体外路系の変性が予測に及ぼす影響について検討した。得られた結果は,① パーキンソン群における主動作筋の潜時は,不規則刺激より規則刺激で延長がみられた。② 全所要時間は刺激頻度に関わらず加齢に伴い有意に延長し,健常群とパーキンソン群の両群とも刺激頻度の差を認めなかった。③ 示指を接触板に接触し離脱する“運動の切り換え”過程では,パーキンソン群と老年群の間で差を認めなかった。 以上のことから,本症にみられる動作緩徐は筋固縮,易疲労等の要因による末梢効果器の障害と大脳基底核-補足運動野が制御する内的運動プログラムに乱れが生じたためと考えられる。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001305984