術後咽頭皮膚瘻に対するパウチ法を用いた管理の有用性

縫合不全に伴う唾液漏出は頭頸部術後合併症の一つであり, 救済処置として咽頭皮膚瘻を形成し二期的閉鎖を目指すことが多く, 創部が安定し閉鎖術が行えるまでの期間は瘻孔からの唾液管理を要する. 瘻孔に軟膏ガーゼを充填し, さらに上からガーゼで圧迫し, 気管孔にカフ付きカニューレを留置する方法 (以後,「従来法」) が一般的だが, 度重なるガーゼと貼付テープの交換による疼痛や皮膚障害, カニューレ刺激による喀痰量増加, 咳嗽誘発など患者負担が大きい. 近年, 患者負担軽減のためにさまざまな方法が報告されているが, 咽頭皮膚瘻特有の構造的および性状的な問題点を解決できない例もあり, 最適なパッキング方法...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 3; pp. 271 - 278
Main Authors 西山, 崇経, 今西, 順久, 五島, 可奈子, 松居, 祐樹, 笠原, 健, 重冨, 征爾, 小澤, 宏之, 佐藤, 陽一郎, 猪狩, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.03.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Subjects
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.125.3_271

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Summary:縫合不全に伴う唾液漏出は頭頸部術後合併症の一つであり, 救済処置として咽頭皮膚瘻を形成し二期的閉鎖を目指すことが多く, 創部が安定し閉鎖術が行えるまでの期間は瘻孔からの唾液管理を要する. 瘻孔に軟膏ガーゼを充填し, さらに上からガーゼで圧迫し, 気管孔にカフ付きカニューレを留置する方法 (以後,「従来法」) が一般的だが, 度重なるガーゼと貼付テープの交換による疼痛や皮膚障害, カニューレ刺激による喀痰量増加, 咳嗽誘発など患者負担が大きい. 近年, 患者負担軽減のためにさまざまな方法が報告されているが, 咽頭皮膚瘻特有の構造的および性状的な問題点を解決できない例もあり, 最適なパッキング方法とは言い難い. 今回われわれは採尿バッグやストマパウチと粘土状皮膚保護剤を組み合わせた方法 (以後,「パウチ法」) による管理を行った. パウチ法は粘土状皮膚保護剤による土手の成形と, パウチの面板の切り取り面積の調整により, 瘻孔径を問わずさまざまな症例に柔軟に対応することができる汎用性の高い方法と考えられた. また, 全例で交換頻度は3~4日毎, 皮膚障害は軽度まで, カニューレは不要だった. パウチ法は従来法の欠点を補い, 患者負担を軽減することができる方法だった. パウチ法の運用は, パウチ内に貯留する唾液管理は患者自身で対応可能であり, 使用資材の取り扱いはストマ専従ナースとの協力が重要だった.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.125.3_271