片麻痺の肩の痛みに対する理学療法
肩甲上腕関節は安定性を犠牲にして大きな可動性を得ている。この構造的な弱さを補うのは筋であるが, 筋緊張に異常をきたす片麻痺では問題を生じやすい。筋緊張の部分的な亢進は肩甲帯に筋緊張のアンバランスを生じさせ, 肩甲上腕リズムを障害して痛みの原因となる。肩関節の亜脱臼は直接痛みに結びつくものではないが不十分な保護的筋収縮のため, 容易に肩関節周囲組織が損傷されて痛みにつながりやすい。また胸部屈曲姿勢は頸部や腰部の負担を増大させ, 頸椎や胸椎起源の肩の痛みも多くなる。胸部の伸展位保持は亜脱臼を予防し, 肩甲骨の十分な動きと肩甲上腕リズムを維持することを可能とする。片麻痺の肩の痛みの治療は, 姿勢の改...
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Published in | 理学療法学 Vol. 16; no. 3; pp. 185 - 189 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
10.05.1989
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00001305949 |
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Summary: | 肩甲上腕関節は安定性を犠牲にして大きな可動性を得ている。この構造的な弱さを補うのは筋であるが, 筋緊張に異常をきたす片麻痺では問題を生じやすい。筋緊張の部分的な亢進は肩甲帯に筋緊張のアンバランスを生じさせ, 肩甲上腕リズムを障害して痛みの原因となる。肩関節の亜脱臼は直接痛みに結びつくものではないが不十分な保護的筋収縮のため, 容易に肩関節周囲組織が損傷されて痛みにつながりやすい。また胸部屈曲姿勢は頸部や腰部の負担を増大させ, 頸椎や胸椎起源の肩の痛みも多くなる。胸部の伸展位保持は亜脱臼を予防し, 肩甲骨の十分な動きと肩甲上腕リズムを維持することを可能とする。片麻痺の肩の痛みの治療は, 姿勢の改善, 筋緊張のバランスの改善などを全身的にみていくことが重要である。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00001305949 |