数値流体力学を用いた脳動脈瘤破裂点の検討

数値流体力学(computational fluid dynamics:CFD)を用いた脳動脈瘤破裂点の研究では,破裂点における血行力学的特徴として低いwall shear stress(WSS)と高いoscillatory shear index(OSI)が報告されている.そこで,造影剤漏出により破裂点を同定できた前交通動脈瘤を対象とし,破壊性リモデリングや菲薄化に関連するパラメータを加えて,破裂点の局所血行力学について検討した.3DCTAから患者固有形状モデルを作成し,造影剤漏出部分を削除し破裂点を定義した.非定常解析を行い,ドームと破裂点のWSS,OSI,および圧分布を標準化するために開...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 50; no. 1; pp. 55 - 58
Main Authors 辻, 正範, 鈴木, 秀謙, 石田, 藤麿, 谷岡, 悟, 田中, 克浩, 中野, 芙美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2022
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.50.55

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Summary:数値流体力学(computational fluid dynamics:CFD)を用いた脳動脈瘤破裂点の研究では,破裂点における血行力学的特徴として低いwall shear stress(WSS)と高いoscillatory shear index(OSI)が報告されている.そこで,造影剤漏出により破裂点を同定できた前交通動脈瘤を対象とし,破壊性リモデリングや菲薄化に関連するパラメータを加えて,破裂点の局所血行力学について検討した.3DCTAから患者固有形状モデルを作成し,造影剤漏出部分を削除し破裂点を定義した.非定常解析を行い,ドームと破裂点のWSS,OSI,および圧分布を標準化するために開発したstandardized pressure difference(SPD)を評価した.破裂点では低いWSS,高いOSIおよびSPDの上昇が観察された.これまでの報告と同様に破裂点のWSSは低く,OSIは高かったが,同時に相対的なSPD上昇が併存していた.脳動脈瘤破裂は薄くて低い壁に発生するため,正常な血管内皮細胞が存在しない破壊性リモデリングのある壁における高いOSIが破裂に関与することが示唆された.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.55