本邦のくも膜下出血治療の動向 ─公開DPCデータを用いた検討

「はじめに」わが国における疾病調査は, 厚生労働省が3年ごとに行い, 患者調査として公開しているが, これは各年度の1日または1カ月の受療状況から入院患者数や退院患者数を推計する方法で, 実際の年間発症数のデータではなく, 実はわが国には疾病データベースが存在していないのが現状である. くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)の疾病動向を考えるうえでは, 死亡数に関しては厚生労働省の統計で明らかになっており, 治療数も日本脳神経外科学会の治療数統計から明らかになっているが, 発症数そのものは, 両者から推計するしかないのが現状であるが, これも治療にいたらなかった...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 49; no. 1; pp. 26 - 33
Main Authors 井上, 賢, 片山, 正輝, 菅, 貞郎, 久保, 創
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2021
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.49.26

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Summary:「はじめに」わが国における疾病調査は, 厚生労働省が3年ごとに行い, 患者調査として公開しているが, これは各年度の1日または1カ月の受療状況から入院患者数や退院患者数を推計する方法で, 実際の年間発症数のデータではなく, 実はわが国には疾病データベースが存在していないのが現状である. くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)の疾病動向を考えるうえでは, 死亡数に関しては厚生労働省の統計で明らかになっており, 治療数も日本脳神経外科学会の治療数統計から明らかになっているが, 発症数そのものは, 両者から推計するしかないのが現状であるが, これも治療にいたらなかった症例が含まれず, また治療後の死亡率を20%と仮定した推計値である. 一方, 2003年度に始まったdiagnosis procedure combination(DPC)に基づく診療報酬制度は, 2015年度には1,580病院にまで対象が広がっており, この診療情報は集計され, 公開されている.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.49.26