頭頸部術後気道トラブルに対する病棟緊急時シミュレーション

頭頸部術後は出血や浮腫, 血腫などにより気道閉塞が起こることがあり, 対応が不十分だと重篤な合併症に発展する. 病棟での術後気道緊急時に適切に対応するためには, 気管挿管や気管切開のようなテクニカルスキルのみならず, ノンテクニカルスキルと呼ばれる技術が重要である. ノンテクニカルスキルとは「個人の能力をチームで共有し, 活用する能力」であり, テクニカルスキルを補完して安全で効率のよいパフォーマンスに導くためのスキルである. 病棟緊急時にすぐにこれらのノンテクニカルスキルを適切に行うことは困難であるため, 定期的なトレーニングをチームで実施することが重要になる. 当科では, 病棟における術後...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 128; no. 3; pp. 215 - 222
Main Authors 小幡, 和史, 垣内, 晃人, 山本, 圭佑, 黒瀬, 誠, 高野, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.03.2025
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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Summary:頭頸部術後は出血や浮腫, 血腫などにより気道閉塞が起こることがあり, 対応が不十分だと重篤な合併症に発展する. 病棟での術後気道緊急時に適切に対応するためには, 気管挿管や気管切開のようなテクニカルスキルのみならず, ノンテクニカルスキルと呼ばれる技術が重要である. ノンテクニカルスキルとは「個人の能力をチームで共有し, 活用する能力」であり, テクニカルスキルを補完して安全で効率のよいパフォーマンスに導くためのスキルである. 病棟緊急時にすぐにこれらのノンテクニカルスキルを適切に行うことは困難であるため, 定期的なトレーニングをチームで実施することが重要になる. 当科では, 病棟における術後気道緊急時の適切な対応を目的として, 病棟医師・看護師を対象に病棟緊急時シミュレーションを実施している. 気道トラブルの発生要因, 対応方法について講義をし, 実際の病棟内で患者・医師・看護師役を設定し, 交代制で数回シミュレーションを行っている. シミュレーションの前後でルーブリック形式のアンケートを行い, 達成度や満足度・問題点を確認することで, シミュレーションの有効性の拡大を図っている.  今回, 当科で行っている病棟緊急時シミュレーションについて概説し, より良い病棟での気道緊急時対応について考察する.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.128.3_215