アフリベルセプト硝子体内初回注射直後に発症した脳塞栓症の1例
症例は72歳,男性である.加齢黄斑変性症に対し,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)阻害薬であるアフリベルセプトが硝子体内に初回投与された約8時間後に,右上肢単麻痺が出現した.頭部MRIでは左放線冠,右上前頭回に塞栓症と考えられる虚血病巣を認めた.血液検査では軽度の線溶系亢進の他は異常なく,経食道心臓超音波検査では卵円孔開存を認めたが,深部静脈血栓は確認されず,その他にも塞栓源となりうる疾患は特定できなかった.本症例では,硝子体内に投与されたVEGF阻害薬が血中に移行し,短時間で血液凝固能が亢進した結果,脳塞栓症を来した可能性が推...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 58; no. 5; pp. 314 - 319 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001162 |
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Summary: | 症例は72歳,男性である.加齢黄斑変性症に対し,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)阻害薬であるアフリベルセプトが硝子体内に初回投与された約8時間後に,右上肢単麻痺が出現した.頭部MRIでは左放線冠,右上前頭回に塞栓症と考えられる虚血病巣を認めた.血液検査では軽度の線溶系亢進の他は異常なく,経食道心臓超音波検査では卵円孔開存を認めたが,深部静脈血栓は確認されず,その他にも塞栓源となりうる疾患は特定できなかった.本症例では,硝子体内に投与されたVEGF阻害薬が血中に移行し,短時間で血液凝固能が亢進した結果,脳塞栓症を来した可能性が推測された. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001162 |