前十字靱帯再建術後患者における膝関節安定性評価と膝屈伸筋力評価および片脚跳躍能力評価の臨床的意義について

本研究では,前十字靱帯再建術後患者の下肢の機能的運動能力テストが膝関節安定性評価と膝屈伸筋力評価に並ぶ重要な評価であることを明らかにするために,その臨床的意義を検討した。前十字靱帯再建術後患者65例について,膝関節安定性評価(KT-1000),膝屈伸筋力評価(Cybex II)および機能的運動能力テスト(片脚8の字跳躍・片脚段差昇降・片脚横跳び・片脚幅跳び)を行った。膝関節安定性評価の結果では,NormalとNearly Normalが合わせて60例,膝屈伸筋力評価の結果では筋力良好の者が35例であった。機能的運動能力テストの結果については,片脚8の字跳躍で35例,片脚段差昇降で44例,片脚横...

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Published in理学療法学 Vol. 23; no. 2; pp. 59 - 65
Main Authors 伊藤, 浩充, 丸山, 孝樹, 木田, 晃弘, 古賀, 友弥, 佐浦, 隆一, 黒坂, 昌弘, 水野, 耕作, 市橋, 則明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.03.1996
日本理学療法士協会
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Summary:本研究では,前十字靱帯再建術後患者の下肢の機能的運動能力テストが膝関節安定性評価と膝屈伸筋力評価に並ぶ重要な評価であることを明らかにするために,その臨床的意義を検討した。前十字靱帯再建術後患者65例について,膝関節安定性評価(KT-1000),膝屈伸筋力評価(Cybex II)および機能的運動能力テスト(片脚8の字跳躍・片脚段差昇降・片脚横跳び・片脚幅跳び)を行った。膝関節安定性評価の結果では,NormalとNearly Normalが合わせて60例,膝屈伸筋力評価の結果では筋力良好の者が35例であった。機能的運動能力テストの結果については,片脚8の字跳躍で35例,片脚段差昇降で44例,片脚横跳びで55例,片脚幅跳びで46例が良好であったが,4つのテスト全てが良好であった者は26例であった。半月板の処置の仕方による差異については,膝関節安定性,膝屈伸筋力,機能的運動能力テストのいずれの評価においても認められなかった。前十字靱帯再建術後の評価において,膝関節前方安定性の評価や膝屈伸筋力評価だけでは術後の膝関節機能を過大評価してしまう可能性があるので,片脚跳躍能力評価のような機能的運動能力テストも臨床で行っていく必要があると考えられた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003129454