ILL統計データ分析からみた医学文献流通における私大医学図書館の役割
I. はじめに 医学関連分野における研究, 医療のための文献利用の対象は, その発展の速さから, 最新の知見が得られる雑誌論文がほとんどである. そのため, 古くから文献複写による図書館の相互貸借が盛んである. 日本においては特定非営利活動法人日本医学図書館協会(Japan Medical Library Association, 以下JMLA)が1927年の第1回会合から相互利用のための共同目録作成についてうちあわせを行い, 早い時期から総合目録の作成, 様式, マニュアルの整備など医学図書館間の相互貸借業務に必要なツールや制度の整備を主導してきた. 一方, 近年国立情報学研究所(Natio...
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Published in | 医学図書館 Vol. 53; no. 3; pp. 233 - 238 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本医学図書館協会
2006
日本医学図書館協会 |
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Summary: | I. はじめに 医学関連分野における研究, 医療のための文献利用の対象は, その発展の速さから, 最新の知見が得られる雑誌論文がほとんどである. そのため, 古くから文献複写による図書館の相互貸借が盛んである. 日本においては特定非営利活動法人日本医学図書館協会(Japan Medical Library Association, 以下JMLA)が1927年の第1回会合から相互利用のための共同目録作成についてうちあわせを行い, 早い時期から総合目録の作成, 様式, マニュアルの整備など医学図書館間の相互貸借業務に必要なツールや制度の整備を主導してきた. 一方, 近年国立情報学研究所(National Institute of Informatics, 以下NII)が運営するNACSIS-CATによる共同分担目録の開始(1985年)や, これによって作成された総合目録データベースWebcatの公開(1998年), NACSIS-ILLサービスの開始(1992年)など医学図書館以外にも環境が整ってきた. 特に大学の80%がNACSIS-ILLを利用するなど, これらのシステムを利用した相互貸借業務が標準になりつつある. しかし, 医学文献は医療現場である病院や医師会など関係団体や大学以外の研究機関でも必要とされ, 参加に一定の条件があるNACSIS-ILLに参加できない機関の相互貸借も依然として一定量を保持していると思われる. |
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ISSN: | 0445-2429 1884-5622 |
DOI: | 10.7142/igakutoshokan.53.233 |