日常生活行動が自立した高齢者の睡眠改善ケアのためのライフスタイルの検討

「1. 緒言」日本人の睡眠時間は, 20年前に比べて男性で約9分, 女性で7分短く30年前と比較すると約30分短縮されている. この背景には, 日本社会の工業化, 情報化に加えて, 夜型化や24時間型化などの要因があり1), この睡眠時間の減少が生活習慣病などの身体疾患や精神疾患, 社会的な問題の根本原因であることが指摘されている. 高齢者, 特に80歳以上では, 3人に1人の割合で睡眠障害が認められ2), 睡眠・覚醒リズムが前進し, サーカディアンリズムの加齢変化, 夜間睡眠の質が低下している3). 高齢者の睡眠障害は, 睡眠潜時の延長, 中途覚醒の増加, 睡眠効率の低下, 睡眠の分断化等4...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 17; no. 3; pp. 117 - 124
Main Authors 木村, みさか, 三橋, 美和, 小松, 光代, 眞鍋, えみ子, 岡山, 寧子, 山縣, 恵美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.08.2012
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.17.3_117

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Summary:「1. 緒言」日本人の睡眠時間は, 20年前に比べて男性で約9分, 女性で7分短く30年前と比較すると約30分短縮されている. この背景には, 日本社会の工業化, 情報化に加えて, 夜型化や24時間型化などの要因があり1), この睡眠時間の減少が生活習慣病などの身体疾患や精神疾患, 社会的な問題の根本原因であることが指摘されている. 高齢者, 特に80歳以上では, 3人に1人の割合で睡眠障害が認められ2), 睡眠・覚醒リズムが前進し, サーカディアンリズムの加齢変化, 夜間睡眠の質が低下している3). 高齢者の睡眠障害は, 睡眠潜時の延長, 中途覚醒の増加, 睡眠効率の低下, 睡眠の分断化等4)が特徴的で単に眠れないことに止まらない. 長期的には記憶や理解・判断, 感情制御などを司る前頭連合野機能の低下, 意欲低下につながり社会活動を阻害, 老年期うつ病や生活習慣病, 認知症リスクを増大させると言われている. これらの主な原因は, 活動不足, 生活リズムの乱れ, メラトニン分泌量の低下, 疾患治療に伴う薬物療法の影響, 夜間頻尿や精神疾患など多様である5).
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.17.3_117