冠動脈バイパス術前後の運動耐容能の変化に関する検討

待機的な冠動脈バイパス術(以下CABG)症例を対象にCABG前後で運動耐容能の変化を検討した。対象はCABGを施行した連続狭心症例(以下AP)33例である。方法は対象全例に心臓外科手術前と、術後に2回の3時点で心肺運動負荷試験(以下CPX)を施行した。すべての対象例は術後1週よりトレッドミルあるいは自転車エルゴメーターによる運動療法を施行した。また同時期に血液検査を行いヘモグロビン量(以下Hb)を測定した。運動耐容能は術後早期は低下するが術後20日程度で術前と同程度に回復した。術前後の運動耐容能の変化は換気効率と最大酸素脈およびHb量の変化と関連を認めた。運動療法施行後の運動耐容能の変化は最大...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 26; no. 6; pp. 249 - 253
Main Authors 佐藤, 滋, 上嶋, 健治, 小林, 昇, 斎藤, 花織, 平盛, 勝彦, 川副, 浩平, 荒川, 直志, 斎藤, 雅彦, 鎌田, 潤也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 30.09.1999
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00001308183

Cover

More Information
Summary:待機的な冠動脈バイパス術(以下CABG)症例を対象にCABG前後で運動耐容能の変化を検討した。対象はCABGを施行した連続狭心症例(以下AP)33例である。方法は対象全例に心臓外科手術前と、術後に2回の3時点で心肺運動負荷試験(以下CPX)を施行した。すべての対象例は術後1週よりトレッドミルあるいは自転車エルゴメーターによる運動療法を施行した。また同時期に血液検査を行いヘモグロビン量(以下Hb)を測定した。運動耐容能は術後早期は低下するが術後20日程度で術前と同程度に回復した。術前後の運動耐容能の変化は換気効率と最大酸素脈およびHb量の変化と関連を認めた。運動療法施行後の運動耐容能の変化は最大酸素脈の変化と関連を認めた。これらのことよりCABGは運動耐容能の改善を目的に行われるものの,術後早期には一時的に低下することが明らかになった。しかし重篤な合併症がなく早期運動療法を施行すれば,運動耐容能は速やかに回復し20日程度で術前と同程度まで回復することが示唆された。また引き続き運動療法を行うことにより,さらなる運動耐容能を獲得し,より高い生活の質を獲得し得る可能性が示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001308183