マットレスの通気性が睡眠感に及ぼす影響
「はじめに」日本は四季の変化とともに冬は寒冷かつ乾燥, 夏は暑熱かつ湿潤という, 世界に他を見つけにくい気候的特徴をもっている. 特に夏の暑熱環境では睡眠が妨げられることが多く, 夏季の寝室環境として28℃, 50~60%rhが許容範囲と言われている1-2). さらに敷き寝具の通気性や吸放湿性が悪いと蒸れ感につながり睡眠に悪影響を及ぼすと一般的に考えられ, 敷き寝具の通気性が問題とされることも多い3). しかし, 敷き寝具の通気性が睡眠に及ぼす影響に関する科学的研究は非常に少なく適切な評価が行なわれてない. さらに, 様々な因子が複雑に影響する睡眠に対して, 敷き寝具の通気性がどの程度影響を及...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 12; no. 1; pp. 19 - 24 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
2007
Japan Society of Physiological Anthropology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.12.1_19 |
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Summary: | 「はじめに」日本は四季の変化とともに冬は寒冷かつ乾燥, 夏は暑熱かつ湿潤という, 世界に他を見つけにくい気候的特徴をもっている. 特に夏の暑熱環境では睡眠が妨げられることが多く, 夏季の寝室環境として28℃, 50~60%rhが許容範囲と言われている1-2). さらに敷き寝具の通気性や吸放湿性が悪いと蒸れ感につながり睡眠に悪影響を及ぼすと一般的に考えられ, 敷き寝具の通気性が問題とされることも多い3). しかし, 敷き寝具の通気性が睡眠に及ぼす影響に関する科学的研究は非常に少なく適切な評価が行なわれてない. さらに, 様々な因子が複雑に影響する睡眠に対して, 敷き寝具の通気性がどの程度影響を及ぼすのかについて言及した報告もほとんど存在しない. 若年者を対象とした先行研究により, マットレスの通気性が睡眠感に及ぼす影響は小さく, 通気性よりも弾力性に対するほうが敏感であることが示唆されたが4), サンプル数が8名と少ないなどの問題があった. また, 睡眠環境に関する評価では, 睡眠欲求が強く環境適応能力も高い若年者の結果を他の世代に適用することはできないと言われているが, 寝室温湿度に関する報告も若年者を対象としたものばかりであり, 若年者以外を対象とした評価が望まれている5). |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.12.1_19 |