重症心身障害の呼吸療法とEBMの構築にむけて

「はじめに」重症心身障害の呼吸療法は, 世界の様々な施設で取り組まれ, 我々も多数報告している1-23). しかし, いまだ確証ある標準的治療エビデンスは明確に規定されていない. これは重症心身障害の臨床像が極めて多様であり, 複雑多岐な障害像を呈する故, 研究報告が少ないのが要因である. 今回, 重症心身障害の呼吸障害の原因や運動療法, さらに治療エピソードを通して, エビデンスの構築を提案したい. 「呼吸障害の要因」重症心身障害の問題は, 呼吸だけにとどまらず消化器, 嚥下, 心臓, 骨形成, 自律神経など多岐にわたる. さらに誤嚥, 胃食道逆流, 感染, 栄養障害など呼吸障害を悪化させる...

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Published in理学療法学 Vol. 36; no. 8; pp. 498 - 502
Main Author 金子, 断行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.12.2009
日本理学療法士協会
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Summary:「はじめに」重症心身障害の呼吸療法は, 世界の様々な施設で取り組まれ, 我々も多数報告している1-23). しかし, いまだ確証ある標準的治療エビデンスは明確に規定されていない. これは重症心身障害の臨床像が極めて多様であり, 複雑多岐な障害像を呈する故, 研究報告が少ないのが要因である. 今回, 重症心身障害の呼吸障害の原因や運動療法, さらに治療エピソードを通して, エビデンスの構築を提案したい. 「呼吸障害の要因」重症心身障害の問題は, 呼吸だけにとどまらず消化器, 嚥下, 心臓, 骨形成, 自律神経など多岐にわたる. さらに誤嚥, 胃食道逆流, 感染, 栄養障害など呼吸障害を悪化させる多くの要因が合併している. 理学療法士は生活障害を改善するという包括的概念の基, 全身ヘアブローチすることが肝要である. しかし今回は呼吸療法に焦点をあて, 論述する. 呼吸障害の要因は, 上気道通過障害, 胸郭呼吸運動障害, 呼吸中枢障害, 呼吸関連組織の未発達・未成熟の4つに大別される(図1).
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00005931434