側方転倒時に手をつく動作が大転子の有効質量と衝撃力の分散に与える影響

「はじめに」転倒による骨折およびその合併症は, 高齢者の死亡原因の一つとして挙げられており, 社会問題になりつつある1). そのため, その治療と予防は豊かな長寿社会の創造に不可欠であると指摘されている幻. 高齢者の骨折の多くは, 転倒により固い地面に直接身体を打ちつけることが原因であり1)-6), 大腿骨頚部骨折, 橈骨遠位端骨折, 上腕骨近位端骨折, 脊椎椎体圧迫骨折が4大骨折と言われている7)8). 中でも大腿骨頚部骨折は, 寝たきり老人や認知症になる割合が高いため, もっとも予後の悪い骨折といえる1)7)8). 側方へ転倒した場合, 臀部(大転子)と地面は直接衝突することが多いため9)...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 10; no. 4; pp. 153 - 159
Main Authors 竹中, 準, 井部, 光滋, 真木, 誠, 浅賀, 忠義, 渡辺, 明日香, 笠原, 敏史, 齊藤, 展士, 井上, 馨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2005
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Summary:「はじめに」転倒による骨折およびその合併症は, 高齢者の死亡原因の一つとして挙げられており, 社会問題になりつつある1). そのため, その治療と予防は豊かな長寿社会の創造に不可欠であると指摘されている幻. 高齢者の骨折の多くは, 転倒により固い地面に直接身体を打ちつけることが原因であり1)-6), 大腿骨頚部骨折, 橈骨遠位端骨折, 上腕骨近位端骨折, 脊椎椎体圧迫骨折が4大骨折と言われている7)8). 中でも大腿骨頚部骨折は, 寝たきり老人や認知症になる割合が高いため, もっとも予後の悪い骨折といえる1)7)8). 側方へ転倒した場合, 臀部(大転子)と地面は直接衝突することが多いため9), 他方向に転倒するときに比べ有意に大腿骨頚部骨折の発症率が高い3)4). そのため側方転倒が大腿骨頚部骨折を引き起こす最も危険な転倒であり, 特に予防しなければならない傷害といえる2)5). 転倒しやすい要因に関する疫学的な研究として, 転倒しやすい環境(外的要因)や下肢の筋力, 歩行能力などの内的要因を調査し, 骨折予防に貢献しようとする研究は多い.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.10.4_153