要介護高齢者の摂食嚥下障害に影響を及ぼす要因について
「1. はじめに」重度の介護を要する施設の長期療養患者において, 食べるということは限られた日々の生活の中でもっとも楽しみのある行為のひとつである. ところが摂食嚥下機能に障害が生じると食べる楽しみが喪失するだけなく, 脱水や低栄養状態を招く危険性が高くなり, 誤嚥(不顕)性肺炎など生命予後にも大きく影響を及ぼす1). 摂食嚥下機能に障害を来たしやすい疾患に脳血管疾患(脳梗塞)がある2),3). 脳血管障害と摂食嚥下障害の関連について多くの報告があり, 嚥下中枢が障害されなくとも, 運動障害や感覚障害により口腔や咽頭をはじめ全身に影響を及ぼし, 摂食嚥下障害を招きやすい4). また, 意識障害...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 11; no. 3; pp. 127 - 132 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
2006
Japan Society of Physiological Anthropology |
Subjects | |
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Summary: | 「1. はじめに」重度の介護を要する施設の長期療養患者において, 食べるということは限られた日々の生活の中でもっとも楽しみのある行為のひとつである. ところが摂食嚥下機能に障害が生じると食べる楽しみが喪失するだけなく, 脱水や低栄養状態を招く危険性が高くなり, 誤嚥(不顕)性肺炎など生命予後にも大きく影響を及ぼす1). 摂食嚥下機能に障害を来たしやすい疾患に脳血管疾患(脳梗塞)がある2),3). 脳血管障害と摂食嚥下障害の関連について多くの報告があり, 嚥下中枢が障害されなくとも, 運動障害や感覚障害により口腔や咽頭をはじめ全身に影響を及ぼし, 摂食嚥下障害を招きやすい4). また, 意識障害や注意力低下等の高次脳障害があると摂食嚥下障害が重度化するとされている4). 器質的な原因だけでなく, 加齢に伴う活動性や身体機能の低下が摂食嚥下機能を障害することが報告されている. 嚥下機能を簡易にスクリーニングする方法に反復唾液嚥下テスト(Repetitive Salvia Swallowing Test, 以下RSSTと略する)がある5). RSSTと運動機能の関連について, ADL能力をはじめ, 歩行能力, 坐位保持能力と相関があり運動機能が低下している者は嚥下障害のリスクが高いとされている2),6),7). |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.11.3_127 |