産婦人科領域における子宮動脈塞栓術

子宮動脈塞栓術は, 悪性腫瘍における子宮出血のコントロールや産科領域において産後の大量子宮出血への対応などに対し, また最近は子宮筋腫に対する新たな治療として用いられ, 脚光を浴びている. これは放射線科領域のIVR(Interventional Radiology)の技術を応用して子宮動脈にゼラチンスポンジ細片からなる塞栓物質を注入, その血流をコントロールする方法である. 当科においても, 実際の臨床において以下の病態に臨床応用し, 良好な成績を示してきた. 1. 子宮筋腫 2. 進行子宮頸癌からの制御困難な性器出血 3. 遺残胎盤や胎盤ポリープ, 子宮動静脈奇形などに起因する産後の異常出...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 3; pp. 140 - 141
Main Authors 品川, 寿弥, 明樂, 重夫, 竹下, 俊行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
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Summary:子宮動脈塞栓術は, 悪性腫瘍における子宮出血のコントロールや産科領域において産後の大量子宮出血への対応などに対し, また最近は子宮筋腫に対する新たな治療として用いられ, 脚光を浴びている. これは放射線科領域のIVR(Interventional Radiology)の技術を応用して子宮動脈にゼラチンスポンジ細片からなる塞栓物質を注入, その血流をコントロールする方法である. 当科においても, 実際の臨床において以下の病態に臨床応用し, 良好な成績を示してきた. 1. 子宮筋腫 2. 進行子宮頸癌からの制御困難な性器出血 3. 遺残胎盤や胎盤ポリープ, 子宮動静脈奇形などに起因する産後の異常出血などである. 本稿では, 主だった子宮動脈塞栓術の現状について述べる. 子宮筋腫に対する治療まず婦人科領域においては, 1995年Ravinaが骨盤血管造影下に子宮動脈塞栓を子宮筋腫に行い, 2~4ヵ月の経過を経て子宮容積は60%程度に縮小されることを報告した. 本邦においても1999年に曽山や安藤らによる子宮筋腫に対する報告がなされ, 90%に治療効果が見られその縮小率は40~60%といわれている.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.1.140