被覆能・保水能が異なる外用剤基剤が創傷治癒に及ぼす影響

「緒言」皮膚科領域における外用療法では疾患や皮膚の状態に合わせた最適な外用剤を選択することが重要である. 外用剤としては, 軟膏剤, クリーム剤, ローション剤, 液剤, ゲル剤, スプレー剤及び貼付剤など複数の剤形が上市されており, その基剤は油脂性基剤, 水溶性基剤, 乳剤性基剤などに分類される. 油脂性基剤には, 白色ワセリンなどの鉱物性油由来のものと亜鉛華単軟膏などの動植物性油由来のものがあり, 皮膚の保護作用が強く, 刺激性も少ないことから, 種々の疾患において広く使用されている. 乳剤性基剤は油脂性成分と水溶性成分を界面活性剤により乳化したもので, 水の中に油が分散した水中油型基剤...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 11; pp. 1417 - 1424
Main Authors 山田, 佳史, 上田, 勇輝, 芦塚, 勇樹, 橋本, 惠以, 田原, 圭祐, 北野, 高道, 藤川, みか, 熊谷, 雄介, 松本, 辰美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2018
日本薬学会
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Summary:「緒言」皮膚科領域における外用療法では疾患や皮膚の状態に合わせた最適な外用剤を選択することが重要である. 外用剤としては, 軟膏剤, クリーム剤, ローション剤, 液剤, ゲル剤, スプレー剤及び貼付剤など複数の剤形が上市されており, その基剤は油脂性基剤, 水溶性基剤, 乳剤性基剤などに分類される. 油脂性基剤には, 白色ワセリンなどの鉱物性油由来のものと亜鉛華単軟膏などの動植物性油由来のものがあり, 皮膚の保護作用が強く, 刺激性も少ないことから, 種々の疾患において広く使用されている. 乳剤性基剤は油脂性成分と水溶性成分を界面活性剤により乳化したもので, 水の中に油が分散した水中油型基剤(O/W型)と油の中に水が分散した油中水型基剤(W/O型)に分類され, 水溶性と油溶性の主薬のいずれも配合することが可能であり, 浸透性に優れる. 水溶性基剤は, 完全に水に溶ける基剤であり, 吸水性に優れ, 水で容易に洗い流せるという利点を有する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.18-00098