心理士による集団認知行動療法がうつ病患者のうつ症状の改善に及ぼす効果 : 対照比較研究(<特集>日本における心理士によるうつ病に対する認知行動療法のエビデンス)

本研究の目的は、心理士による集団認知行動療法がうつ病患者のうつ症状の改善に及ぼす効果について、統制群を設定した対照比較を用いて検証することであった。集団認知行動療法は、認知療法や問題解決療法を基盤に構成された計12回のプログラムであった。薬物療法などの通常の治療に加えて、集団認知行動療法プログラムを受けた10名(CBGT併用群)、通常の薬物療法のみを受けた10名(TAU群)の2群のうつ症状の変化を測定した。うつ症状の評価にはBDI-IIが用いられ、計3時点(pre期、mid期、post期)において回答を求めた。ベースラインであるpre期のBDI-II得点を共変量として、群(CBGT併用群、TA...

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Published in行動療法研究 Vol. 38; no. 3; pp. 169 - 179
Main Authors 熊野, 宏昭, 鈴木, 伸一, 伊藤, 大輔, 巣山, 晴菜, 貝谷, 久宣, 兼子, 唯, 小関, 俊祐, 田上, 明日香, 金谷, 順弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2012
日本行動療法学会
Subjects
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.38.3_169

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Summary:本研究の目的は、心理士による集団認知行動療法がうつ病患者のうつ症状の改善に及ぼす効果について、統制群を設定した対照比較を用いて検証することであった。集団認知行動療法は、認知療法や問題解決療法を基盤に構成された計12回のプログラムであった。薬物療法などの通常の治療に加えて、集団認知行動療法プログラムを受けた10名(CBGT併用群)、通常の薬物療法のみを受けた10名(TAU群)の2群のうつ症状の変化を測定した。うつ症状の評価にはBDI-IIが用いられ、計3時点(pre期、mid期、post期)において回答を求めた。ベースラインであるpre期のBDI-II得点を共変量として、群(CBGT併用群、TAU群)と測定時期(mid期、post期)を独立変数、BDI-II得点を従属変数とした2要因の共分散分析を行った。その結果、mid期に群間差はみられなかったものの、post期におけるCBGT併用群のBDI-II得点が、TAU群と比較して有意に低いことが示された。以上の結果から、通常の薬物療法に、心理士が行う認知行動療法を併用することで、うつ病患者のうつ症状の改音効果が高まり、その効果が維持されることが実証的に示された。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.38.3_169