痛みに対する理学療法の効果

理学療法の痛み治療の効果判定のため,痛みを生理学的に解説し,理学療法の治療効果判定の基盤を探った。近年,痛みの問題は痛覚の話にとどまらず,鎮痛系や神経性炎症及び神経・免疫連関をも含む生体防御系の領域にまで広がっている。そのような痛み研究の展開・進歩にしたがって,治療は鎮痛機構を促通させて一時的な痛みの軽減・消失をえる“症候治療”と,痛みの原因病変の改善を目的とした“原因治療”とに明確に分類されるようになったといえる。現在,理学療法は両方の“治療”を行っているが,鎮痛系の生理的作用の存在からして,痛みなどの原因である病変に対する“原因治療”がこれからもより発展されるべきである。...

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Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 20; no. 2; pp. 69 - 75
Main Author 辻井, 洋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 01.03.1993
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00001306616

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Summary:理学療法の痛み治療の効果判定のため,痛みを生理学的に解説し,理学療法の治療効果判定の基盤を探った。近年,痛みの問題は痛覚の話にとどまらず,鎮痛系や神経性炎症及び神経・免疫連関をも含む生体防御系の領域にまで広がっている。そのような痛み研究の展開・進歩にしたがって,治療は鎮痛機構を促通させて一時的な痛みの軽減・消失をえる“症候治療”と,痛みの原因病変の改善を目的とした“原因治療”とに明確に分類されるようになったといえる。現在,理学療法は両方の“治療”を行っているが,鎮痛系の生理的作用の存在からして,痛みなどの原因である病変に対する“原因治療”がこれからもより発展されるべきである。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001306616