フッ化物応用に関する母親の知識・態度・行動とその3歳児のう蝕罹患経験との関連性について
母親は育児の主な担い手であり,母親のフッ化物応用に対する知識,態度および行動が子どもの口腔内状態に影響を及ぼすと考えられる。そこで,本研究では,1993年11月から1994年3月までに,3歳児健康診査受診のため,広島市内某保健所を訪れた母子437組を対象に,フッ化物応用に関する母親への質問紙調査と3歳児の口腔内診査を行い,以下の結果を得た。1.回答を得た母親の69%は,う蝕予防には歯みがきが最も効果的であると回答し,フッ化物応用のほうが効果的であると回答した母親は1%だった。2.母親の24%がフッ化物配合の歯磨剤を3歳児に使用し, 81%の母親が3歳児にフッ化物塗布を受けさせていた。3.3歳児...
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Published in | JOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 50; no. 3; pp. 398 - 406 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2000
日本口腔衛生学会 Japanese Society for Oral Health |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.50.3_398 |
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Summary: | 母親は育児の主な担い手であり,母親のフッ化物応用に対する知識,態度および行動が子どもの口腔内状態に影響を及ぼすと考えられる。そこで,本研究では,1993年11月から1994年3月までに,3歳児健康診査受診のため,広島市内某保健所を訪れた母子437組を対象に,フッ化物応用に関する母親への質問紙調査と3歳児の口腔内診査を行い,以下の結果を得た。1.回答を得た母親の69%は,う蝕予防には歯みがきが最も効果的であると回答し,フッ化物応用のほうが効果的であると回答した母親は1%だった。2.母親の24%がフッ化物配合の歯磨剤を3歳児に使用し, 81%の母親が3歳児にフッ化物塗布を受けさせていた。3.3歳児のう蝕罹患経験の有無は,フッ化物配合歯磨剤の使用の有無やフッ化物塗布経験の有無により統計学的有意差はみられなかった。以上のことから,う蝕予防手段としてのフッ化物応用に対する母親の認識は全体的に低く,積極的にフッ化物応用を取り入れている母親においても,その行動が3歳児のう蝕を減じるに至っていないことが示唆された。そのため,専門家である歯科医師には,フッ化物応用に対する正確な情報を伝達する責任があると考えられる。 |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.50.3_398 |