応力逆解析手法の発展と応用
応力逆解析法は,現在または地質学的過去の,テクトニクスの原動力を解明する方法である.この方法は理学的研究だけでなく,防災や原発の安全評価にも使われるようになった.データは,小断層,地震の発震機構解,岩脈や鉱物脈などの引張割れ目,方解石双晶から得られる.応力の時空間変化の把握には,異なる応力に由来するデータが混在していても,応力を分離検出する必要がある.ここ四半世紀で,まず小断層解析でそれが可能となり,地震の発震機構解の解析にも応用されるようになった.次いで岩脈や鉱物脈で可能になり,さらに3本の主応力軸方位・応力比のみならず流体圧も制約できるようになった.方解石双晶でも分離検出が最近可能になり,...
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Published in | 地質学雑誌 Vol. 123; no. 6; pp. 391 - 402 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本地質学会
15.06.2017
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Subjects | |
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ISSN | 0016-7630 1349-9963 |
DOI | 10.5575/geosoc.2017.0028 |
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Summary: | 応力逆解析法は,現在または地質学的過去の,テクトニクスの原動力を解明する方法である.この方法は理学的研究だけでなく,防災や原発の安全評価にも使われるようになった.データは,小断層,地震の発震機構解,岩脈や鉱物脈などの引張割れ目,方解石双晶から得られる.応力の時空間変化の把握には,異なる応力に由来するデータが混在していても,応力を分離検出する必要がある.ここ四半世紀で,まず小断層解析でそれが可能となり,地震の発震機構解の解析にも応用されるようになった.次いで岩脈や鉱物脈で可能になり,さらに3本の主応力軸方位・応力比のみならず流体圧も制約できるようになった.方解石双晶でも分離検出が最近可能になり,主応力軸方位と応力比に加え,差応力の推定も可能になりつつある. |
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ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
DOI: | 10.5575/geosoc.2017.0028 |