歯周病原性細菌のプロテアーゼに対するモノクローナル抗体を利用した歯周病診断の試み

Porhyromonas gingivalis菌体に対するポリクローナル抗体(pAb-P.g.)と同菌の産生するトリプシン様酵素の1つであるPase-Cに対するモノクローナル抗体(mAb-PC)とを作製し,歯周炎患者の歯肉溝滲出液中のPase-C, P. gingivalis量をこれらの抗体を用いたELISA法により調べた。その結果,50検体のPase-C量とP. gingivalis量の間に有意な相関を認めなかったが,プロービング時に出血(BOP)を認めなかったサンプルだけで解析したところ,両者の間に有意な相関を認めた。そこで,BOPの程度でサンプルを群分けし,各々のPase-C量,P. g...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 49; no. 1; pp. 71 - 78
Main Authors 吉岡, 昌美, 増田, かなめ, 日野出, 大輔, 林, 祐行, 中村, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1999
日本口腔衛生学会
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Summary:Porhyromonas gingivalis菌体に対するポリクローナル抗体(pAb-P.g.)と同菌の産生するトリプシン様酵素の1つであるPase-Cに対するモノクローナル抗体(mAb-PC)とを作製し,歯周炎患者の歯肉溝滲出液中のPase-C, P. gingivalis量をこれらの抗体を用いたELISA法により調べた。その結果,50検体のPase-C量とP. gingivalis量の間に有意な相関を認めなかったが,プロービング時に出血(BOP)を認めなかったサンプルだけで解析したところ,両者の間に有意な相関を認めた。そこで,BOPの程度でサンプルを群分けし,各々のPase-C量,P. gingivalis量を調べた。Pase-C量はBOPの程度が進むに従い増加する傾向を認めたが,P. gingivalis量は群間にそのような傾向を認めなかった。BOP は炎症の活動度をある程度反映するものと考えられることから,mAb-PCを用いて歯肉溝滲出液中のPase-C量を測定する方法が,歯周炎の詳細な診断に利用できる可能性が示唆された。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.49.1_71