ナイロンに多元素鉱物粉状体を混合して成形したフィラメントを用いた歯ブラシのブラッシング効果

ナイロンに多元素鉱物粉状体を混合して成形したフィラメントを植毛した歯ブラシ(イオン歯ブラシ)の効果を検討した。対照歯ブラシは,イオン歯ブラシと同一のナイロンフィラメントを植毛した歯ブラシとした。実験は動物実験と臨床実験の2つに分けた。動物実験では,雑種成犬6頭(オス,体重9.2〜11.5kg)を1日1回,3週間ブラッシングし,歯肉の組織変化を病理組織学的に検討した。イオン歯ブラシ群は,対照歯ブラシ群よりも内縁上皮基底細胞において,proliferating cell nuclear antigen (PCNA)陽性の細胞数が少なかった。内縁上皮下結合組織では,イオン歯ブラシ群は線維芽細胞密度,...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 221 - 228
Main Authors 坂本, 友紀, 友藤, 孝明, 堀内, 正純, 江國, 大輔, 森田, 学, 山本, 龍生, 渡邊, 達夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2002
日本口腔衛生学会
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Summary:ナイロンに多元素鉱物粉状体を混合して成形したフィラメントを植毛した歯ブラシ(イオン歯ブラシ)の効果を検討した。対照歯ブラシは,イオン歯ブラシと同一のナイロンフィラメントを植毛した歯ブラシとした。実験は動物実験と臨床実験の2つに分けた。動物実験では,雑種成犬6頭(オス,体重9.2〜11.5kg)を1日1回,3週間ブラッシングし,歯肉の組織変化を病理組織学的に検討した。イオン歯ブラシ群は,対照歯ブラシ群よりも内縁上皮基底細胞において,proliferating cell nuclear antigen (PCNA)陽性の細胞数が少なかった。内縁上皮下結合組織では,イオン歯ブラシ群は線維芽細胞密度,PCNA陽性率が高い傾向がみられたが,統計学的に有意な差はなかった。臨床実験では,成人ボランティア10人(平均年齢32.1±5.0歳)に3日間それぞれの歯ブラシを使用させ,歯垢付着の程度を比較した。Quigley & Hein Plaque lndexの変法(Tureskyの変法)で評価したところ,イオン歯ブラシ群は歯垢付着が有意に少ないことが示された。これらのことより,イオン歯ブラシは対照歯ブラシよりも(1)内縁上皮基底細胞の細胞増殖能が低いこと,(2)歯垢除去効果が高いことが示された。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.52.3_221