東京都豊島区某幼稚園にみる近年の乳歯齲蝕の罹患状況 : 1985年〜1995年の調査結果の検討

東京都豊島区内の幼稚園において1985年から1995年までの11年間のうち9年分の定期歯科健康診査を行った。その結果,最近の4,5歳児に齲蝕の減少が認められたが3歳児には減少傾向は認められなかった。3歳でdf歯数が2以下の者については5歳までのdf歯数の増加量が経年的に減少しており,このことが最近の4,5歳児の齲蝕の減少に寄与していると考えられた。9回の調査を総合した分析では,df歯数の分布はいずれの年齢においてもあらゆる理論分布と適合しなかった。特に5歳児の齲蝕有病者の分布にはdf歯数2と8に異なるピークが現れた。これら2つのビークはそこに現れる齲蝕歯面の相対的集中度や齲歯1歯あたりのdf歯...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 48; no. 3; pp. 285 - 293
Main Authors 阿部, 晶子, 染谷, 美子, 米満, 正美, 相沢, 文恵, 岸, 光男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1998
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.48.3_285

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Summary:東京都豊島区内の幼稚園において1985年から1995年までの11年間のうち9年分の定期歯科健康診査を行った。その結果,最近の4,5歳児に齲蝕の減少が認められたが3歳児には減少傾向は認められなかった。3歳でdf歯数が2以下の者については5歳までのdf歯数の増加量が経年的に減少しており,このことが最近の4,5歳児の齲蝕の減少に寄与していると考えられた。9回の調査を総合した分析では,df歯数の分布はいずれの年齢においてもあらゆる理論分布と適合しなかった。特に5歳児の齲蝕有病者の分布にはdf歯数2と8に異なるピークが現れた。これら2つのビークはそこに現れる齲蝕歯面の相対的集中度や齲歯1歯あたりのdf歯面数などに明らかな差違を示した。5歳児の乳臼歯都f歯中に占める充填物の割合は経年的にインレー充填が増加し,アマルガム充填が減少していた。それに対しクラウン修復には経年的傾向がみられなかった。以上より,このような乳歯齲蝕の近年的傾向について,今後他地域でも同種の検討がなされるべきものであると思われた。また,乳歯齲蝕の罹患状況の変化に伴い,今後3歳児歯科健康診査から就学時までの保健事業に体系的な歯科健康診査を組み込む必要があるものと考えられた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.48.3_285