網膜・視神経変性の病態とその神経保護治療戦略

我が国の中途失明疾患には,緑内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性症および網膜色素変性症などがある.これらの失明性疾患の多くは網膜細胞の変性に起因することが知られている.しかし,その病態の発症および進行機序は十分に解明されていない.近年,緑内障をはじめとした網膜疾患における小胞体ストレスの関与が注目されている.著者らは,様々な種類の細胞ストレスにより,網膜神経節細胞が細胞死に至る前に小胞体ストレスを誘導することを明らかにした.また,緑内障患者においてその網膜・視神経の障害と同時に眼から脳への視覚中枢の中継路である外側膝状体に変性が起こることが明らかになってきた.本稿では,網膜神経節細胞死における小胞...

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Bibliographic Details
Published inNeuro-Ophthalmology Japan Vol. 32; no. 3; pp. 240 - 247
Main Authors 原, 英彰, 嶋澤, 雅光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.09.2015
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society
Subjects
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.32.240

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Summary:我が国の中途失明疾患には,緑内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性症および網膜色素変性症などがある.これらの失明性疾患の多くは網膜細胞の変性に起因することが知られている.しかし,その病態の発症および進行機序は十分に解明されていない.近年,緑内障をはじめとした網膜疾患における小胞体ストレスの関与が注目されている.著者らは,様々な種類の細胞ストレスにより,網膜神経節細胞が細胞死に至る前に小胞体ストレスを誘導することを明らかにした.また,緑内障患者においてその網膜・視神経の障害と同時に眼から脳への視覚中枢の中継路である外側膝状体に変性が起こることが明らかになってきた.本稿では,網膜神経節細胞死における小胞体ストレスの関与,視覚中枢変性およびその治療戦略について紹介する.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.32.240