日常生活行動の自立した在宅高齢者の飲水量 : 飲水行動要因との関連
高齢者では, 腎臓や渇中枢機能の老化による保水力や口渇感の低下, 頻尿などによる意図的な飲水の制限, ADL低下に伴う飲水行動の依存など様々な理由によって脱水に陥りやすい. 脱水は, 高齢者ケアプランの問題領域の一つであり1), 脱水症が生じた場合の対処方法に関するマニュアル2)3)4)5)6)7)8)はいくつかあるが, 脱水を予防するための具体的な援助に関して報告されているものは少ない. 加えて, 最近になり, 熱中症などの暑熱障害による死亡数は高齢者で確実に増加している. 高齢者の暑熱障害には, 虚弱な高齢者ばかりでなく, 日常生活行動の自立した高齢者が, 外出中や運動, 畑仕事等で, 外...
Saved in:
Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 9; no. 2; pp. 71 - 76 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
2004
Japan Society of Physiological Anthropology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.9.2_71 |
Cover
Summary: | 高齢者では, 腎臓や渇中枢機能の老化による保水力や口渇感の低下, 頻尿などによる意図的な飲水の制限, ADL低下に伴う飲水行動の依存など様々な理由によって脱水に陥りやすい. 脱水は, 高齢者ケアプランの問題領域の一つであり1), 脱水症が生じた場合の対処方法に関するマニュアル2)3)4)5)6)7)8)はいくつかあるが, 脱水を予防するための具体的な援助に関して報告されているものは少ない. 加えて, 最近になり, 熱中症などの暑熱障害による死亡数は高齢者で確実に増加している. 高齢者の暑熱障害には, 虚弱な高齢者ばかりでなく, 日常生活行動の自立した高齢者が, 外出中や運動, 畑仕事等で, 外に出て活動している時に発症する例も多い9)10). 地球温暖化や都市部のヒートアイランド化の進展を考えると, 高齢者への暑さに対する対応, 特に脱水の予防に向けての対策は緊急課題である. 高齢者の脱水予防には, まず, 高齢者の水分出納を理解することが重要である. 日常生活行動が自立した在宅高齢者の水分出納調査11)12)では, 1日の水分摂取量は, 夏期が冬期より多く, かなりの個人差が認められ, これらの差は飲用水として飲む量に依存することが報告されている. |
---|---|
ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.9.2_71 |