血清マグネシウム量と生活習慣病発症に関する患者・対照研究
マグネシウムは人体内の7番目に多く存在する必須ミネラルである. そして人体内で多種の作用を有している. 生理的作用として重要なのは, 300種類以上の酵素がその活性化にマグネシウムを必要とすることである. さらに能動輸送に関係する作用, 蛋白質の合成に関して不可欠であることが認められている. さらに近年, マグネシウムは虚血性心疾患などの循環器系疾患を予防する作用を有することが明らかになってきた. この点ついては, 1952年Kobayashi1)が我が国の河川の水質を測定し, 河川水の硬度と脳卒中死亡率に負の相関関係を見いだした. また, 米国においてSchroeder2), カナダではMa...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 5; no. 2; pp. 111 - 114 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
2000
Japan Society of Physiological Anthropology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.5.2_111 |
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Summary: | マグネシウムは人体内の7番目に多く存在する必須ミネラルである. そして人体内で多種の作用を有している. 生理的作用として重要なのは, 300種類以上の酵素がその活性化にマグネシウムを必要とすることである. さらに能動輸送に関係する作用, 蛋白質の合成に関して不可欠であることが認められている. さらに近年, マグネシウムは虚血性心疾患などの循環器系疾患を予防する作用を有することが明らかになってきた. この点ついては, 1952年Kobayashi1)が我が国の河川の水質を測定し, 河川水の硬度と脳卒中死亡率に負の相関関係を見いだした. また, 米国においてSchroeder2), カナダではMarierら3)も同様な結果を報告している. さらに食事中のマグネシウム量と循環器系疾患の関係がKarppanenら4)により報告されている. またItokawaら5), Alturaら6), Yamoriら7)によりマグネシウムが血圧上昇, 脂質代謝, 動脈硬化の憎悪, 心疾患, 脳血管障害発症の増加につながることが, 動物実験的にも臨床的にも確認されてきており, 循環器系疾患予防へのマグネシウム摂取の重要性が認められてきた5-7). しかしながら, 我が国において人を対象とした疫学的な調査研究はいくつか報告されているが8)未だ十分であるとはいえない. そのため, 本研究では, 比較的容易に得られる生体内マグネシウムに関連する指標である血清マグネシウム量について, 大規模事業所従業員を対象に, 高血圧, 心疾患等の生活習慣病との関連性について患者・対照研究を行った. |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.5.2_111 |