腹痛への懸念を強く訴えた社会不安障害患者に対する認知行動療法(実践研究)

われわれは、腹痛への予期不安が強い全般性社会不安障害の28歳男性患者を経験した。患者は、他者からの否定的評価を恐れて、10年近く社会的交流を回避していた。この症例に対して、認知行動療法(リラクセーション、社会的スキル訓練SST、認知再構成法、エクスポージャー)を行った。その結果、リラクセーションを用いて不安に伴う身体症状に対処できるようになり、SSTでは、社会的交流に必要な振る舞いを獲得し、認知再構成法やエクスポージャーを通して、不合理な思い込みや他者からの否定的評価に対する不安が低減した。全13回の面接終結後、社会的機能は著しく改善し、フォローアップ期においてもその改善が維持されていた。本報...

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Published in行動療法研究 Vol. 32; no. 2; pp. 157 - 166
Main Authors 坂野, 雄二, 鈴木, 伸一, 貝谷, 久宣, 松永, 美希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2006
日本行動療法学会
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.32.2_157

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Summary:われわれは、腹痛への予期不安が強い全般性社会不安障害の28歳男性患者を経験した。患者は、他者からの否定的評価を恐れて、10年近く社会的交流を回避していた。この症例に対して、認知行動療法(リラクセーション、社会的スキル訓練SST、認知再構成法、エクスポージャー)を行った。その結果、リラクセーションを用いて不安に伴う身体症状に対処できるようになり、SSTでは、社会的交流に必要な振る舞いを獲得し、認知再構成法やエクスポージャーを通して、不合理な思い込みや他者からの否定的評価に対する不安が低減した。全13回の面接終結後、社会的機能は著しく改善し、フォローアップ期においてもその改善が維持されていた。本報告では、本症例の治療経過と、社会不安障害に対する認知行動療法の効果について検討した。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.32.2_157