模擬患者との医療面接実習体験はclinical clerkshipに進んだ直後の医学生にどの様に影響していたか

医学生には知識、技能、態度を備えた臨床実践能力の修得が求められている。本研究では模擬患者(Simulated Patient, 以下 SP)参加型医療面接実習(以下 SP 実習)直後で、Clinical Clerkship(以下 CC)開始後間もない日本医科大学の学生12名に半構造化面接(インタビュー)を行い、一般市民参加のSP実習が医療面接スキルの修得と患者-医師間信頼関係構築に結びつくプロセスを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的に分析した。インタビューでの質問は「SP 実習で印象的なことは?」など5項目を設定した。実臨床へと進む時期の医学生は、最初は初対...

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Published in日本シミュレーション医療教育学会雑誌 Vol. 10; pp. 57 - 63
Main Authors 阿曽, 亮子, 石川, 和信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション医療教育学会 2022
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Summary:医学生には知識、技能、態度を備えた臨床実践能力の修得が求められている。本研究では模擬患者(Simulated Patient, 以下 SP)参加型医療面接実習(以下 SP 実習)直後で、Clinical Clerkship(以下 CC)開始後間もない日本医科大学の学生12名に半構造化面接(インタビュー)を行い、一般市民参加のSP実習が医療面接スキルの修得と患者-医師間信頼関係構築に結びつくプロセスを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的に分析した。インタビューでの質問は「SP 実習で印象的なことは?」など5項目を設定した。実臨床へと進む時期の医学生は、最初は初対面のSPと接する緊張感で自信のない思いを抱いたが、しだいに自分からやってどこまでできるか試したいという意欲と医師になる実感を得ていた。SP からのフィードバックにより、患者との信頼関係構築の大切さを自覚し、共に学ぶ同級生の観察やグループでの振り返りに大きく影響を受けていた。SP実習の経験は、CCに進んだ直後の医学生に、実際の患者に相対する自信と心構えをもたらしており、医学生はCCでの実際の患者との緊張に耐えてSP実習の学びを生かして患者に配慮し、患者中心の視点で先輩医師を観察していることが示唆された。CC担当教員は、経験しながら自分を向上させていきたいという医学生の意欲を活かし、日々の実習を振り返らせるアプローチ(debriefing や portfolio)を用いた支援的な態度で接することが有効と考えられる。
ISSN:2187-9281
2436-4452
DOI:10.50950/jasehp.2022-10-14