模擬患者の活動に対する動機付けへの影響因子に関する研究

模擬患者(以下SP)は、医療者教育において重要な役割を果たしており、SP養成者には継続的活動への意欲と能力の向上への支援が求められる。本研究の目的は、SPの活動中の動機付けへの影響因子に対するSPの認識を探索することである。対象者はワークショップに参加した経験年数2年以上のSP69名で、SP活動中の動機の変容を記述するワークでの記述内容を主題分析法を用いて分析した。理論的枠組みとして、Deci&Ryanの自己決定理論を用いた。結果、内発的動機づけを促す基本的欲求である、自律性・有能性・関係性に関わる9つの主題が浮かび上がった。すなわち自律性:1.SPとしての役割の理解、2.新しいことやSPとし...

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Published in日本シミュレーション医療教育学会雑誌 Vol. 11; pp. 92 - 100
Main Authors 今福, 輪太郎, 西城, 卓也, 早川, 佳穂, 藤崎, 和彦, 川上, ちひろ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション医療教育学会 2023
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ISSN2187-9281
2436-4452
DOI10.50950/jasehp.2023-11-19

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Summary:模擬患者(以下SP)は、医療者教育において重要な役割を果たしており、SP養成者には継続的活動への意欲と能力の向上への支援が求められる。本研究の目的は、SPの活動中の動機付けへの影響因子に対するSPの認識を探索することである。対象者はワークショップに参加した経験年数2年以上のSP69名で、SP活動中の動機の変容を記述するワークでの記述内容を主題分析法を用いて分析した。理論的枠組みとして、Deci&Ryanの自己決定理論を用いた。結果、内発的動機づけを促す基本的欲求である、自律性・有能性・関係性に関わる9つの主題が浮かび上がった。すなわち自律性:1.SPとしての役割の理解、2.新しいことやSPとしての能力獲得に取り組むことへの興味、3.SP活動が自分自身の生活にもたらすもの、有能性:4.学生のパフォーマンス、5.SPとしてのパフォーマンスへの内省・自己評価、6.他者からの言語化された評価、関係性:7.交流のひろがり、8.先輩および同僚SPとのつながり、9.SP・学生・養成者の協働性、であった。これらの主題は、同一化的調整・統合的調整を踏まえて内在化が進む過程に統合することができた。本研究の知見は、SPがより内発的に動機づけられ、精神的に安全な状況で活動し、より優れたパフォーマンスを発揮できるようにするための、養成者が実践できるSP支援と環境整備の留意点を示唆するものである。
ISSN:2187-9281
2436-4452
DOI:10.50950/jasehp.2023-11-19