北海道日高帯ポロシリオフィオライト北部地域の地質と変成作用

ポロシリオフィオライト北部地域,チロロ川流域では,中央部の断層を挟んだ西部で背斜構造,東部で向斜構造が推定される.二岐沢流域では,中央部の北西−南東方向の断層に沿って,上部片状角閃岩が東部に分布している. チロロ川流域は,中央部の断層を挟んで100℃近い変成温度のギャップが存在している.二岐沢流域の東部に分布する上部片状角閃岩の温度は,チロロ川流域の西部の最高温度とほぼ同じ600℃である.チロロ川流域の褶曲構造は変成温度構造とは対応しておらず,変成作用のピークは褶曲構造の形成後であるが,断層は変成作用のピーク後も継続して活動し,変成温度のギャップをもたらした.二岐沢流域の東部の上部片状角閃岩は...

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Published in地質学雑誌 Vol. 118; no. 11; pp. 723 - 740
Main Authors 田中, 真二, 木崎, 健治, 宮下, 純夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.11.2012
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Summary:ポロシリオフィオライト北部地域,チロロ川流域では,中央部の断層を挟んだ西部で背斜構造,東部で向斜構造が推定される.二岐沢流域では,中央部の北西−南東方向の断層に沿って,上部片状角閃岩が東部に分布している. チロロ川流域は,中央部の断層を挟んで100℃近い変成温度のギャップが存在している.二岐沢流域の東部に分布する上部片状角閃岩の温度は,チロロ川流域の西部の最高温度とほぼ同じ600℃である.チロロ川流域の褶曲構造は変成温度構造とは対応しておらず,変成作用のピークは褶曲構造の形成後であるが,断層は変成作用のピーク後も継続して活動し,変成温度のギャップをもたらした.二岐沢流域の東部の上部片状角閃岩は,西部で変成作用を受けた後に,北西−南東方向の断層の活動により,東部に上昇・定置した. 角閃石の累帯構造は温度上昇過程を示す.これは上昇しながら熱変成作用を被り,変成作用のピーク後の上昇期間が短かったことによる.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2012.0046