地域在住高齢者における食事づくりの実践別にみた栄養摂取と咀嚼との関連

咀嚼は栄養摂取に強く影響するといわれるが,両者の関連は咀嚼機能の低下が調理により補償されるため,説明しづらくなっている面がある.そこで著者らは,栄養摂取と咀嚼の関連が食事づくりの実践により異なるか否かを検証することを目的に横断的な疫学調査を行った.対象は地域在住の高齢者297名(平均年齢77.6±6.5歳)である.栄養状態の指標にはMini Nutritional Assessment(MNA)を用いた.咀嚼はグミ咀嚼検査による客観的評価と13食品に対する咀嚼可否による主観的評価を複合した指標を用いた.食事づくりは質問紙で得た毎日調理しているか否かの情報を用い,これと現在歯数にて層別してMNA...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 328 - 336
Main Authors 安藤, 雄一, 富永, 一道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.07.2013
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.63.4_328

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Summary:咀嚼は栄養摂取に強く影響するといわれるが,両者の関連は咀嚼機能の低下が調理により補償されるため,説明しづらくなっている面がある.そこで著者らは,栄養摂取と咀嚼の関連が食事づくりの実践により異なるか否かを検証することを目的に横断的な疫学調査を行った.対象は地域在住の高齢者297名(平均年齢77.6±6.5歳)である.栄養状態の指標にはMini Nutritional Assessment(MNA)を用いた.咀嚼はグミ咀嚼検査による客観的評価と13食品に対する咀嚼可否による主観的評価を複合した指標を用いた.食事づくりは質問紙で得た毎日調理しているか否かの情報を用い,これと現在歯数にて層別してMNAを目的変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)にて,毎日調理するか否かにより咀嚼とMNAの関連の違いを検討した.その結果,毎日調理する層ではMNAと咀嚼には有意な関連が認められなかったが,毎日調理しない層ではMNAと咀嚼には有意な関連が認められた.これは,食事づくりを毎日実施する高齢者では低下した咀嚼機能が調理の実践により補償されていることによるものと考えられた.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.63.4_328