脂質介入試験からわかったこと

国内外の臨床疫学研究によって血清コレステロールとくにLDLコレステロール高値が動脈硬化の最大の危険因子のひとつであることが明らかとなっている. このことから, 何らかの介入によってLDLコレステロールを低下させることが, 動脈硬化性疾患の発症や進展を抑制につながる可能性が示唆され, その証明のためにこれまでに数多くの大規模脂質介入試験が行われてきた. 米国12の臨床施設の共同研究であるLipid Research Clinics Coronary Primary Prevention Trial(LRC-CPPT)1)では, 高コレステロール血症の男性3,806例を対象に, コレスチラミンを用...

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Published inJapanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention Vol. 42; no. 2; pp. 108 - 111
Main Author 山崎, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本循環器管理研究協議会 2007
日本循環器管理研究協議会
The Japanese Association for Cerebro-cardiovascular Disease Control
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ISSN1346-6267
DOI10.11381/jjcdp2001.42.108

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Summary:国内外の臨床疫学研究によって血清コレステロールとくにLDLコレステロール高値が動脈硬化の最大の危険因子のひとつであることが明らかとなっている. このことから, 何らかの介入によってLDLコレステロールを低下させることが, 動脈硬化性疾患の発症や進展を抑制につながる可能性が示唆され, その証明のためにこれまでに数多くの大規模脂質介入試験が行われてきた. 米国12の臨床施設の共同研究であるLipid Research Clinics Coronary Primary Prevention Trial(LRC-CPPT)1)では, 高コレステロール血症の男性3,806例を対象に, コレスチラミンを用いた無作為プラセボ対照二重盲検試験を実施しその結果を1984年に報告した. 平均7.4年間の観察後, LDLコレステロールは治療群で20%低下(プラセボに比較すると-12.6%), 冠動脈疾患死および非致死性心筋梗塞が約19%減少することを認め(図1), コレステロール低下療法が冠動脈疾患の発症を予防する可能性を初めて示すとともに, さらに強力なコレステロール低下療法が, 冠動脈疾患リスクの一層の低減をもたらす可能性が期待された.
ISSN:1346-6267
DOI:10.11381/jjcdp2001.42.108