健常成人の生体諸機能とβカロチンおよび運動付加に関する実験的研究
2000年度から向こう10年間の国民の健康づくりの指標となる厚生省の新計画「健康日本21」が発表された. この計画の中に, 「2010年までに, 脳卒中患者を男性56%, 女性18%, 心筋梗塞患者を男性49%, 女性19%減少させる」という具体的な数値目標が盛り込まれている. この新計画の主要な項目の一つに, 食生活, 身体活動等の生活習慣の改善により脳卒中および心筋梗塞等の循環器系疾患の発症予防がある. このような循環器系疾患等の生活習慣病の発症予防は, 要介護高齢者の減少にもつながり, 2000年4月から開始される公的介護保険と共に21世紀の医療・福祉の2本柱であり, 国民的に推奨されて...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 5; no. 2; pp. 103 - 109 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
2000
Japan Society of Physiological Anthropology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.5.2_103 |
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Summary: | 2000年度から向こう10年間の国民の健康づくりの指標となる厚生省の新計画「健康日本21」が発表された. この計画の中に, 「2010年までに, 脳卒中患者を男性56%, 女性18%, 心筋梗塞患者を男性49%, 女性19%減少させる」という具体的な数値目標が盛り込まれている. この新計画の主要な項目の一つに, 食生活, 身体活動等の生活習慣の改善により脳卒中および心筋梗塞等の循環器系疾患の発症予防がある. このような循環器系疾患等の生活習慣病の発症予防は, 要介護高齢者の減少にもつながり, 2000年4月から開始される公的介護保険と共に21世紀の医療・福祉の2本柱であり, 国民的に推奨されている. その中で, 栄養に関しては, 食生活の改善ばかりか, 近年のいわゆる「健康ブーム」から, サプリメント食品を摂取する人口も増加している1). βカロチンはサプリメント食品の一つである. βカロチンの人間や動物に対する栄養素としての意義は, 他のカロチニノイドとともに, ビタミンAの前駆体として理解されているにすぎなかったが, 近年, 循環器系疾患や悪性新生物に対して, 予防的効力をもつものとして注目を浴びてきている2). 最近の研究においては, βカロチンは, 生体膜や組織を構成する生体内分子を攻撃して各種疾患を誘発する活性酸素・フリーラジカルを補足し中和する働きがあることがわかってきた3). このようにβカロチン付加による疾病予防効果に関する報告がなされてきており, βカロチンをサプリメント食品として摂取する人々も増加している. |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.5.2_103 |