健康づくり実践高齢者の口腔内状況と健康度との関連についての検討 : 健康改善カードの活用

本研究は,大阪府A市で日常的に健康づくりを実践している65歳以上の女性高齢者を対象に,口腔内状況ならびに健康指標である健康リスク,ライフスタイルおよび口腔の健康の各因子を把握して健康度を3段階で判定し,口腔内状況に影響を与える要因について検討することを目的に行った.健康度判定は,World Health Professions Alliance(WHPA)が提唱する健康指標に口腔の健康因子を加えた健康改善カードにより行い,さらに,口腔内状況に影響を与える要因について検討した.  対象者の口腔内状況は,一人平均現在歯数が22.4本,機能歯20本以上の保有者率が74.4%と全国値と比べて良好に維持...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 351 - 358
Main Authors 神原, 正樹, 土居, 貴士, 畑山, 英明, 上根, 昌子, 神, 光一郎, 川崎, 弘二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.07.2014
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.64.4_351

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Summary:本研究は,大阪府A市で日常的に健康づくりを実践している65歳以上の女性高齢者を対象に,口腔内状況ならびに健康指標である健康リスク,ライフスタイルおよび口腔の健康の各因子を把握して健康度を3段階で判定し,口腔内状況に影響を与える要因について検討することを目的に行った.健康度判定は,World Health Professions Alliance(WHPA)が提唱する健康指標に口腔の健康因子を加えた健康改善カードにより行い,さらに,口腔内状況に影響を与える要因について検討した.  対象者の口腔内状況は,一人平均現在歯数が22.4本,機能歯20本以上の保有者率が74.4%と全国値と比べて良好に維持されていた.また,健康リスク因子およびライフスタイル因子では,WHPA基準の健康目標達成者が全国値と比べて多い傾向にあった.さらに対象者の現在歯数は空腹時血糖値,飲酒習慣,処置歯数および4mm以上の歯周ポケットの有無に,対象者の歯肉退縮歯数は定期的な歯科健診の受診状況に,それぞれ有意に影響を受けている結果であった.  これらのことから,日頃から健康づくりを実践している女性高齢者の口腔内は,全国値と比べて良好に維持されており,現在歯数・歯肉退縮歯数はライフスタイルや口腔の健康因子に影響を受けていることが示唆された.なお,本研究で用いた健康改善カードが,高齢者の口腔を含めた健康度を判定するうえで有用なツールとなり得るかどうかについては,引き続き長期的な追跡調査を実施し検討する必要がある.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.64.4_351