局所寒冷暴露時の血圧と心拍変動に関する研究

寒冷暴露の昇圧反応については, Hinesら1)が昇圧度から高血圧者と正常血圧者の区別ができることを報告し, 以後, 血管運動神経反射を検査する自律神経検査法の一つとして用いられている. しかし, 4℃では痛み刺激も含まれることなどから, 南ら2)は, 40℃から12℃まで徐々に降温させる寒冷昇圧試験を考案した. これを本態性高血圧患者に対して実施したところ, 16℃で昇圧度による群分けができることを示した. さらに, 群分けされたそれぞれのグループに対して, 直接16℃の冷水負荷を実施した結果, 平滑筋と共通のα_2 受容体を持つ血小板細胞内遊離Ca^2+ 濃度と収縮期血圧の変化にグループ間...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 3; no. 3; pp. 105 - 108
Main Authors 横井, 郁子, 青木, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 1998
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.3.3_105

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Summary:寒冷暴露の昇圧反応については, Hinesら1)が昇圧度から高血圧者と正常血圧者の区別ができることを報告し, 以後, 血管運動神経反射を検査する自律神経検査法の一つとして用いられている. しかし, 4℃では痛み刺激も含まれることなどから, 南ら2)は, 40℃から12℃まで徐々に降温させる寒冷昇圧試験を考案した. これを本態性高血圧患者に対して実施したところ, 16℃で昇圧度による群分けができることを示した. さらに, 群分けされたそれぞれのグループに対して, 直接16℃の冷水負荷を実施した結果, 平滑筋と共通のα_2 受容体を持つ血小板細胞内遊離Ca^2+ 濃度と収縮期血圧の変化にグループ間で差が生じたことを報告した. 寒冷暴露に対する昇圧反応は, 交感神経活動, 特にα受容体の賦活化により生じるものといわれている. その評価として末梢血管抵抗などの変化が測定され, また指標として血漿 catecholamine3), 筋交感神経活動4)5)6), 皮膚交感神経活動4)7)の測定が行われているが, 報告者により結果が異なっている. また被験者によって心拍出量の増加を認め5), α受容体以外の影響も考えられ, その機序は複雑である. そこで私たちは, 南らの降温型寒冷昇圧試験方法を参考に, 心臓自律神経活動を評価するとされている心拍変動のスペクトル解析を行い, 寒冷刺激による昇圧の機序について検討することを目的とした. また, 心拍変動のスペクトル解析による寒冷刺激の定量的評価の可能性について検討した.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.3.3_105