ラット頭蓋骨由来初代培養細胞系の骨細胞様細胞分化について

目的 : 骨にメカニカルストレスが加わると, その刺激はメカノセンサーである骨細胞に感知され, 骨細胞ネットワークにより生物学的なシグナルとして変換され, 骨芽細胞や破骨細胞に送られる. これらのシグナルにより骨芽細胞と破骨細胞の動きが制御され, 骨形成や骨吸収がコントロールされていると考えられている. しかしながら, 骨細胞のメカノセンサーとしての機能についてはいまだ不明な点が多いのが現状である. そこで今回の実験は, 新生児ラットの頭蓋骨から骨細胞を分離し, それらの細胞を培養したときの性質を解析し骨細胞様細胞としての機能を保持しているかを調べることを目的とした. 材料と方法 : 生後3日...

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Published inThe Japanese Journal of Conservative Dentistry Vol. 60; no. 3; pp. 128 - 134
Main Authors 日下, 洋平, 横瀬, 敏志, 山﨑, 崇秀, 門倉, 弘志, 上田, 堯之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2017
日本歯科保存学会
The Japanese Society of Conservative Dentistry
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.60.128

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Summary:目的 : 骨にメカニカルストレスが加わると, その刺激はメカノセンサーである骨細胞に感知され, 骨細胞ネットワークにより生物学的なシグナルとして変換され, 骨芽細胞や破骨細胞に送られる. これらのシグナルにより骨芽細胞と破骨細胞の動きが制御され, 骨形成や骨吸収がコントロールされていると考えられている. しかしながら, 骨細胞のメカノセンサーとしての機能についてはいまだ不明な点が多いのが現状である. そこで今回の実験は, 新生児ラットの頭蓋骨から骨細胞を分離し, それらの細胞を培養したときの性質を解析し骨細胞様細胞としての機能を保持しているかを調べることを目的とした. 材料と方法 : 生後3日目の新生児ラットの頭蓋骨より膜性の結合組織を除去し, その後70%エタノールに浸漬して骨表面に存在する細胞を取り除いた. その後, 頭蓋骨を細切し, collagenase酵素液とEDTA溶液を使用し骨細胞を分離した. これらの細胞を培養し, アルカリホスファターゼ染色を行った. また, これらの細胞に対しreal-time quantitative PCRにて骨細胞の各ステージの分化マーカーであるE11/gp38, DMP-1, sost, fgf23の遺伝子発現を解析した. 結果 : 細胞群の中には, 細胞突起を伸ばした骨細胞様の細胞が確認された. さらにこれらの細胞に対してALP染色を行うと, 染色性を示さない細胞が多く確認された. Real-time quantitative PCRでは, 培養7日目においてE11/gp38, DMP-1, sost, fgf23の発現が確認された. また, 培養14日目ではそれらの遺伝子発現が上昇していた. 結論 : ラット頭蓋骨より分離した培養細胞を培養したところ骨細胞様の表現型を示し, 本培養細胞は骨細胞の機能の解析に有用であることが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.60.128