十二指腸腫瘍との鑑別が問題となったparagangliomaの一例
症例:70代女性.冠動脈CTにて偶然,十二指腸に腫瘤を指摘された.精査の腹部造影CTでは十二指腸と一部接する境界明瞭な腫瘤で,早期から強く造影され,後期まで造影効果は遷延していた.MRIでは嚢胞を含み,T2強調像にて不均一な高信号を呈していた.脂肪は見られなかった.十二指腸消化管間質腫瘍のほかに,後腹膜神経鞘腫,paragangliomaを鑑別に挙げた.このため,123I-MIBGシンチグラフィを行ったところ有意な集積を認めた.手術後の病理標本でもparagangliomaの診断であった. 考察:本症例は十二指腸に接して,副腎とは離れた位置に腫瘍が認められたため,十二指腸腫瘍を当初考えたが,十...
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Published in | 天理医学紀要 Vol. 25; no. 2; pp. 106 - 112 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
25.12.2022
天理よろづ相談所医学研究所 |
Subjects | |
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ISSN | 1344-1817 2187-2244 |
DOI | 10.12936/tenrikiyo.25-024 |
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Summary: | 症例:70代女性.冠動脈CTにて偶然,十二指腸に腫瘤を指摘された.精査の腹部造影CTでは十二指腸と一部接する境界明瞭な腫瘤で,早期から強く造影され,後期まで造影効果は遷延していた.MRIでは嚢胞を含み,T2強調像にて不均一な高信号を呈していた.脂肪は見られなかった.十二指腸消化管間質腫瘍のほかに,後腹膜神経鞘腫,paragangliomaを鑑別に挙げた.このため,123I-MIBGシンチグラフィを行ったところ有意な集積を認めた.手術後の病理標本でもparagangliomaの診断であった. 考察:本症例は十二指腸に接して,副腎とは離れた位置に腫瘍が認められたため,十二指腸腫瘍を当初考えたが,十二指腸の周囲は右腎動脈周囲傍神経節の部位に近接しており,非臓器性のparagangliomaの発生部位にもなり得る. 結論:十二指腸近傍の後腹膜に存在し,早期から造影増強効果を示す多血性腫瘍としてparagangliomaは鑑別診断に含めるべきで,内分泌学的検査や123I-MIBGシンチグラフィも術前検査として考慮すべきと考えられた. |
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ISSN: | 1344-1817 2187-2244 |
DOI: | 10.12936/tenrikiyo.25-024 |