腹部緊急手術における長期ステロイド使用と手術部位感染症の関係

【背景】ステロイド長期使用患者では手術部位感染症(surgical site infection; SSI)の発生率が高いことはよく知られているが,緊急手術を対象とした検討は少ない.本研究では腹部緊急手術における長期ステロイド使用患者のSSI発生の実態を調査した. 【方法】単施設過去起点コホート研究を行った.消化器外科で緊急手術となった患者のうち,過去5年間におけるステロイド使用群と過去1年間におけるステロイド非使用群でのSSI発生率を比較検討した. 【結果】ステロイド使用群は35人,非ステロイド使用群は227人が解析対象となった. SSIはステロイド使用群の6人(17.1%),非ステロイド使...

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Published in天理医学紀要 Vol. 26; no. 2; pp. 76 - 82
Main Authors 木下, 慶一郎, 明保, 洋之, 仲野, 健三, 待本, 貴文, 佐田, 竜一, 八田, 和大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2023
天理よろづ相談所医学研究所
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.26-014

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Summary:【背景】ステロイド長期使用患者では手術部位感染症(surgical site infection; SSI)の発生率が高いことはよく知られているが,緊急手術を対象とした検討は少ない.本研究では腹部緊急手術における長期ステロイド使用患者のSSI発生の実態を調査した. 【方法】単施設過去起点コホート研究を行った.消化器外科で緊急手術となった患者のうち,過去5年間におけるステロイド使用群と過去1年間におけるステロイド非使用群でのSSI発生率を比較検討した. 【結果】ステロイド使用群は35人,非ステロイド使用群は227人が解析対象となった. SSIはステロイド使用群の6人(17.1%),非ステロイド使用群の14人(6.2%)に生じ,有意差を認めた(P = 0.035).またステロイド使用群でSSIをきたした6例のうち4例は消化管穿孔を伴っていた. 【結論】腹部緊急手術ではステロイド使用群においてSSI発生率が有意に高かった.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.26-014