MDP含有ワンステップボンディング材の歯質接着性に関する研究

目的 : ワンステップボンディング材であるクリアフィルトライエスボンドND (TSB-ND) に含有されている酸性モノマーMDPについて, TSB-NDとエナメル質または象牙質粉末とを反応させ, 反応前後における溶液と固体13C NMRスペクトルの変化から, MDPと歯質成分との相互作用の詳細について検討した. さらに, MDPの脱灰率がエナメル質と象牙質の接着強さに及ぼす影響を検討した.  材料と方法 : TSB-ND 2.000g中に切削したウシ前歯歯冠エナメル質または象牙質粉末0.400gを10分間懸濁し, 振盪・攪拌した. その後, 懸濁液を遠心分離し, ボンディング材上澄み液と反応残...

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Published inThe Japanese Journal of Conservative Dentistry Vol. 58; no. 3; pp. 192 - 199
Main Authors 横田, 容子, 岡田, 珠美, 西山, 典宏, 藤田, 光, 内山, 敏一, 平山, 聡司, 大村, 基守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2015
日本歯科保存学会
The Japanese Society of Conservative Dentistry
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.58.192

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Summary:目的 : ワンステップボンディング材であるクリアフィルトライエスボンドND (TSB-ND) に含有されている酸性モノマーMDPについて, TSB-NDとエナメル質または象牙質粉末とを反応させ, 反応前後における溶液と固体13C NMRスペクトルの変化から, MDPと歯質成分との相互作用の詳細について検討した. さらに, MDPの脱灰率がエナメル質と象牙質の接着強さに及ぼす影響を検討した.  材料と方法 : TSB-ND 2.000g中に切削したウシ前歯歯冠エナメル質または象牙質粉末0.400gを10分間懸濁し, 振盪・攪拌した. その後, 懸濁液を遠心分離し, ボンディング材上澄み液と反応残渣の13C NMRスペクトルとを, 高分解能NMR (EX270) を用いて測定した. エナメル質または象牙質粉末を相互作用させる前後における, HEMAのビニル基メチレンカーボンNMRピークに対するTSB-NDに含有されるMDPのビニル基メチレンカーボンNMRピークの強度比を求めた. MDPのビニル基メチレンカーボンNMRピーク強度の減少率は, 反応前後の強度比の差を反応前の強度比で除して求め, これをMDPの歯質アパタイト成分の脱灰率とした. さらに, TSB-NDのエナメル質と象牙質に対するせん断接着強さを測定した.  結果 : TSB-NDにエナメル質または象牙質粉末を相互作用させた際のMDPによる歯質アパタイト成分の脱灰率は, エナメル質で33.00%, 象牙質では40.50%を示した. また, TSB-NDのエナメル質に対する接着強さは15.04MPaで, 象牙質への接着強さは17.39MPaを示した.  結論 : TSB-NDに配合されているMDPの歯質アパタイト成分の脱灰率は, エナメル質より象牙質のほうが高く, 歯質に対する接着強さは, エナメル質よりも象牙質で高い値を示した.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.58.192