地域在住高齢者の転倒と転倒予防〜ロコモティブシンドロームおよび脊椎グローバルアライメントの観点から

「I はじめに」転倒は高齢者が日常生活で直面する問題である. 65歳以上の高齢者の30%が少なくとも年に1回の転倒を経験し, 転倒により生じる骨折はその後の身体機能に大きな悪影響を及ぼす. その結果, 転倒・骨折は要介護の原因の13.0%を占め, 認知症, 脳血管障害, 高齢による衰弱に続く主要な原因となっている. 日本整形外科学会による全国調査では, ADL (日常生活動作) に重大な障害をもたらす大腿骨近位部骨折の発生原因の77.7%は転倒で, 90歳以上に限れば84.1%が転倒により受傷している. このように, 昨今の高齢化社会において転倒はADL障害をきたす高齢者の運動器疾患とのつなが...

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Published in日本転倒予防学会誌 Vol. 10; no. 1; pp. 19 - 25
Main Authors 世木, 直喜, 中島, 宏彰, 伊藤, 定之, 大内田, 隼, 飯田, 浩貴, 竹上, 靖彦, 田中, 智史, 両角, 正義, 村本, 明生, 小林, 和克, 石塚, 真哉, 関, 泰輔, 長谷川, 幸治, 今釜, 史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本転倒予防学会 29.03.2024
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Summary:「I はじめに」転倒は高齢者が日常生活で直面する問題である. 65歳以上の高齢者の30%が少なくとも年に1回の転倒を経験し, 転倒により生じる骨折はその後の身体機能に大きな悪影響を及ぼす. その結果, 転倒・骨折は要介護の原因の13.0%を占め, 認知症, 脳血管障害, 高齢による衰弱に続く主要な原因となっている. 日本整形外科学会による全国調査では, ADL (日常生活動作) に重大な障害をもたらす大腿骨近位部骨折の発生原因の77.7%は転倒で, 90歳以上に限れば84.1%が転倒により受傷している. このように, 昨今の高齢化社会において転倒はADL障害をきたす高齢者の運動器疾患とのつながりが強く, 重要性を増している問題であり, 健康寿命の延伸のために高齢者の転倒予防はきわめて重要な課題であるといえる.
ISSN:2188-5702
2188-5710
DOI:10.11335/tentouyobou.10.1_19