学校歯科健康診断におけるDF歯数の診査誤差による変動とその変動の意味 : う蝕処置推奨のためのスクリーニング検査としての妥当性

すべての小,中学校および高等学校には,歯科疾患に対する予防処置と保健指導を行う学校歯科医が置かれている.しかし,学校歯科健康診断には,学校歯科医以外の多くの歯科医師が携わることがあり,その際,事前に入念な診査基準の擦り合わせ(キャリブレーション)が実施されるとは限らない.また,光量不足や受診者の姿勢など健康診断には困難が伴うことが多い.本調査では,広島県内にある某中高一貫校での学校歯科健康診断結果を利用し,う蝕罹患状態における診査誤差を検討した.平成17年度と18年度に卒業した215名において,ある学年のう蝕罹患状態とその前年度のう蝕罹患状態を比較した.その結果,1,075例中306例28.5...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 60; no. 5; pp. 569 - 574
Main Authors 笹原, 妃佐子, 林, 文子, 岡田, 貢, 島津, 篤, 河村, 誠, 香西, 克之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2010
日本口腔衛生学会
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Summary:すべての小,中学校および高等学校には,歯科疾患に対する予防処置と保健指導を行う学校歯科医が置かれている.しかし,学校歯科健康診断には,学校歯科医以外の多くの歯科医師が携わることがあり,その際,事前に入念な診査基準の擦り合わせ(キャリブレーション)が実施されるとは限らない.また,光量不足や受診者の姿勢など健康診断には困難が伴うことが多い.本調査では,広島県内にある某中高一貫校での学校歯科健康診断結果を利用し,う蝕罹患状態における診査誤差を検討した.平成17年度と18年度に卒業した215名において,ある学年のう蝕罹患状態とその前年度のう蝕罹患状態を比較した.その結果,1,075例中306例28.5%)で,本来ありえないはずの未処置歯数と処置歯数の合計(DF歯数)の減少が認められた.しかし,その9割は処置歯(F歯)の見誤りであり,未処置歯(D歯)の見誤りは1割程度と考えられた.同時に,受診者に精密検査の機会を失わせるという意味での偽陰性が疑われるものは,数%程度と推察された.そこで,本研究に用いた学校歯科健康診断の結果は,精密検査を促すためのスクリーニングを目的とする健康診断として問題が少ないことが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.60.5_569