高齢者における咀嚼回数と食品群別摂取量および栄養素等摂取量との関連

本研究の目的は,高齢者における咀嚼回数と食品群および栄養素等の推定摂取量との関連を検討することである.2003年に行われた調査に協力の得られた75歳高齢者349名(男性182名,女性167名)を対象とした.咀嚼回数の測定には煎餅を用い,食品群および栄養素等の摂取量の推定には簡易自己式食事歴質問票を用いた.咀嚼回数と食品群および栄養素等の推定摂取量との関連について重回帰分析を用いて評価した.重回帰分析の結果から,咀嚼回数の多い者は食品群として,魚介類(p=0.041),乳類(p=0.029)の摂取量が統計学的に有意に多く,菓子類(p=0.007)の摂取量が有意に少なかった.栄養素等摂取量では,総...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 128 - 138
Main Authors 村松, 芳多子, 渡邊, 令子, 葭原, 明弘, 宮崎, 秀夫, 岩崎, 正則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2010
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.60.2_128

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Summary:本研究の目的は,高齢者における咀嚼回数と食品群および栄養素等の推定摂取量との関連を検討することである.2003年に行われた調査に協力の得られた75歳高齢者349名(男性182名,女性167名)を対象とした.咀嚼回数の測定には煎餅を用い,食品群および栄養素等の摂取量の推定には簡易自己式食事歴質問票を用いた.咀嚼回数と食品群および栄養素等の推定摂取量との関連について重回帰分析を用いて評価した.重回帰分析の結果から,咀嚼回数の多い者は食品群として,魚介類(p=0.041),乳類(p=0.029)の摂取量が統計学的に有意に多く,菓子類(p=0.007)の摂取量が有意に少なかった.栄養素等摂取量では,総たんぱく質(p=0.001),動物性たんばく質(p=0.001),カルシウム(p=0.008),リン(p=0.001),亜鉛(p=0.009),ビタミンD(p=0.001),ビタミンB_2(p=0.010),ビタミンB_6(p=0.031),ビタミンB_ (p=0.004),パントテン酸(p=0.001),コレステロール(p=0.034)の摂取量が咀嚼回数の多い者で有意に多かった.本研究結果から,高齢者において咀嚼回数の多い者のほうが食品群として魚介類,乳類の摂取量が多く,菓子類の摂取量が少ないこと,また栄養素等として,たんぱく質,ミネラル,ビタミン類,コレステロールの摂取量が多いことが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.60.2_128