揮発性硫黄化合物産生抑制におけるプロポリス含嗽剤14日間使用の効果 : 無作為化クロスオーバー試験による検討

口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(Volatile sulfur compounds:以下VSCと略す)は主に舌苔中の細菌により産生される.一方,プロポリス抽出物は口腔内細菌の発育を抑制すると報告されている.そこで本実験は,プロポリスエキス含有含嗽剤14日間使用前後における舌背に占める舌苔面積および口腔内の気体中のVSC濃度の比較を行った.対象は健康な男性14名である.被験者14名を無作為に2群に割り付け,両群とも0.2%プロポリスエキス溶液およびプラセボを用いた実験に参加する交差研究とした.各対象者は1回につき1種類の含嗽剤にて,毎食後および就寝前の1日4回含嗽行い,これを14日間継続し...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 17 - 22
Main Authors 山賀, 孝之, 濃野, 要, 森田, 眞司, 宮崎, 秀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2010
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.60.1_17

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Summary:口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(Volatile sulfur compounds:以下VSCと略す)は主に舌苔中の細菌により産生される.一方,プロポリス抽出物は口腔内細菌の発育を抑制すると報告されている.そこで本実験は,プロポリスエキス含有含嗽剤14日間使用前後における舌背に占める舌苔面積および口腔内の気体中のVSC濃度の比較を行った.対象は健康な男性14名である.被験者14名を無作為に2群に割り付け,両群とも0.2%プロポリスエキス溶液およびプラセボを用いた実験に参加する交差研究とした.各対象者は1回につき1種類の含嗽剤にて,毎食後および就寝前の1日4回含嗽行い,これを14日間継続した.実験期間1週間前より実験終了まで舌清掃を行わないものとした.洗い流し期間は14日間とした.試験開始日および14日後の同時刻に,ガスクロマトグラフィによるVSC濃度測定およびデジタルカメラによる舌背写真撮影を行った.14日間含嗽前後で比較すると,両群とも舌苔量に有意な変化はなかった.一方,硫化水素およびメチルメルカプタン濃度は,対照群ではいずれも有意な減少はなかったが,試験群においては硫化水素濃度が平均値(ng/10ml)で1.758から0.880と有意(p=0.019)に減少した.以上より,プロポリス含嗽剤長期使用により硫化水素産生が抑制されることが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.60.1_17