急性肺動脈塞栓症の原因となった膝窩venous aneurysm の1 例

要旨:膝窩のvenous aneurysm は稀ではあるが,肺塞栓症を引き起こすことがあり外科治療の適応となる.患者は生来健康な48 歳男性.外傷の既往もなくとくに強い運動歴も認めなかった.労作時の息切れで発症し,安静時呼吸困難に増悪したために受診された.造影CT で急性肺動脈塞栓症と診断され,保存的治療にて症状は軽快した.下肢静脈エコーおよびCT で壁在血栓を有する大きさ35 mm の囊状左膝窩venous aneurysm を認めたが,他の静脈に深部静脈血栓は認めなかった.発症後3 カ月で内側アプローチによる静脈瘤切除・端々吻合による膝窩静脈再建術を施行した.手術前日から回収可能型下大静脈...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 7; pp. 1011 - 1014
Main Authors 山本, 直樹, 稲垣, 順大, 藤井, 太郎, 馬瀬, 泰美, 徳井, 俊也, 湯淺, 右人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2014
日本血管外科学会
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Summary:要旨:膝窩のvenous aneurysm は稀ではあるが,肺塞栓症を引き起こすことがあり外科治療の適応となる.患者は生来健康な48 歳男性.外傷の既往もなくとくに強い運動歴も認めなかった.労作時の息切れで発症し,安静時呼吸困難に増悪したために受診された.造影CT で急性肺動脈塞栓症と診断され,保存的治療にて症状は軽快した.下肢静脈エコーおよびCT で壁在血栓を有する大きさ35 mm の囊状左膝窩venous aneurysm を認めたが,他の静脈に深部静脈血栓は認めなかった.発症後3 カ月で内側アプローチによる静脈瘤切除・端々吻合による膝窩静脈再建術を施行した.手術前日から回収可能型下大静脈フィルターを留置し,術後7 日目に抜去するまで持続ヘパリン静脈内投与を行った.術後膝窩静脈の血流には問題を認めなかった.術後下肢リンパ浮腫のため半年間の弾性ストッキング着用と抗凝固療法を必要としたが,経過は良好である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.14-00053