冠動脈塞栓症による急性心筋梗塞症

篠原らの症例報告1)は, 基礎疾患を有さない洞調律例, 血栓症の原因病態が見あたらない, 塞栓症を生じにくい冠動脈に発症している, 多枝かつ多発性に栓塞した, 他の動脈には塞栓を生じていないという極めて興味深い例である. 一臨床医の観点から冠動脈塞栓症についてコメントしたい. 心原性のみならず一般的な血栓形成の原因として, Virchowの3因子が知られている. すなわち, (1)血管壁の性状の変化, (2)血流の変化, (3)血液成分の変化である. これらは互いに密接に絡み合って血栓を形成する....

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Published in心臓 Vol. 35; no. 5; pp. 336 - 338
Main Author 日浅, 芳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2003
丸善
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Summary:篠原らの症例報告1)は, 基礎疾患を有さない洞調律例, 血栓症の原因病態が見あたらない, 塞栓症を生じにくい冠動脈に発症している, 多枝かつ多発性に栓塞した, 他の動脈には塞栓を生じていないという極めて興味深い例である. 一臨床医の観点から冠動脈塞栓症についてコメントしたい. 心原性のみならず一般的な血栓形成の原因として, Virchowの3因子が知られている. すなわち, (1)血管壁の性状の変化, (2)血流の変化, (3)血液成分の変化である. これらは互いに密接に絡み合って血栓を形成する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.5_336